希望捜索
「人探しってこんなに大変なんだな......警察舐めてました」
「いや、これは普通ではない。確かに人探しも大変だがこれはよく似た別物だ」
俺と岸田君がいるのは、複雑に入り組んだ路地裏......
などではなく、学校の図書室だ。あるものが俺達を苦しめていた。
「なぁ、雷鳴君」
「どうした? 岸田君」
「何故、時空転送装置のありかを示したものが地図ではなく小説なんだ?」
「それは多分、サヴァが元々小説家だからだ」
「私は、理系だが現代文の成績もそこそこ良かったはずだ。自分で言うことではないが」
「これは現代文ではなく未来文だ。心配しなくていい」
そう。俺達は《希望の子》を味方に加えるため、彼女が現代へ来るための入り口となる時空転送装置のありかを調べている。しかし、そのための唯一の方法が未来人であるサヴァが書いた小説を読み解くことだった。
幼い主人公が宝を探して町中を探検する話だが、一つ一つの描写があまりに細かく難解で、やっと理解できたと思ったら本筋に関係ないどうでもいい情報だったりと読解が非常に困難だ。二時間かけて読み解いた内容が「そよ風が心地いい」だった時は泣いた。
「雷鳴君。君は学園長のこと、どう思う? 私は会議の様子を見て、より疑念が増した」
岸田君が神妙な顔つきで話始める。
またか。相当懐疑的になってるな。
「確かに《ラグナロク》のメンバーとかかわりも深いし、理事長にも何か隠してる節はある。でも、考え過ぎじゃないか?」
「ならいいが。もし、あの人と戦うことになったとして勝てると思うか?」
「確かにノーマークにするには強すぎるかもな」
「ああ。私だって疑いたくはないが、あれほどの強さを持つ人だと少し怪しいだけでも背中を預けるべきか不安になる」
「どちらにしても、今は実力をつけるしかないさ。学園長にも勝てるくらいのね」
「ま、私たちはしばらくまともに戦えないがな」
そう。俺はKを名乗っていた男、岸田君は風間君と戦った際に限界を超えた力を発揮したらしく、しばらく戦闘には参加できない。
保健室の先生の能力で外傷は治癒したものの、異能力は使えないし、体に疲労が残っているからしばらく安静にしていろと言われている。
自主トレーニングも禁止された俺達はこうして図書室にいるわけだ。
「手が止まっているぞ雷鳴君。明日、他の生徒が出発するまでにこれを地図に書き換えなければならない」
「雑談し始めたのはそっちだろ」
俺は作業に戻った。
その後、自主トレーニングなどを終えた同級生たちの助けもあり、何とか地図を完成させることができた。




