一時休戦
「見つけたぞ! K!」
魔法陣と共に学園長、Sさん、師匠が姿を現した。
「お久しぶりです。先輩方」
先輩方? 誰のことだ?
疑問に思っていると、学園長がサヴァを仕留めたカマキリを見て、顔を曇らせる。
「《操蟲術》か......まさか盗んだのが魔術関連の道具だったとはな」
「いいですね。これ。流石は《三大禁術》」
《三大禁術》!? 虫を出すだけでそんなたいそうなものなのか?
「僕としたことが魔術......よりにもよって《操蟲術》に関する情報を盗まれるとは......」
悔しがる学園長にKは狂気の笑みを浮かべる。
「僕だってやれば出来るでしょ? これで先輩が地べたを這う貴重映像が見られるのかな? 《地獄蟷螂》!」
Kがカマキリに指示を出すが、何も起こらない。
「何!?」
カマキリがいた方を見ると、カマキリがどこにも見当たらない。
「悪いな。元カノが虫嫌いだから見つけ次第駆除する癖が出ちまった」
Sさんが拳銃をクルクルさせながら言った。
「流石に一筋縄じゃいかないか。《地獄大兜》!」
Kを名乗っていた男を崖下に突き落としたカブトムシが高速飛行で学園長を襲う。
「《複合魔術 ブラックホール》」
カブトムシは学園長の魔術によって発生したブラックホールに吸い込まれ、跡形もなく消滅した。
「流石にこの二人を相手にするのは今はちょっと荷が重いかな。ん?」
ここでKのスマホに着信があったようだ。
「牧野か。何? 保管庫にあったものがいくつか盗まれている? すぐに行く」
Kたちはどうやら退散するようだ。
「逃がさないわ!」
師匠が剣を抜いて斬りかかろうとする。
しかし......
「止まれ」
「何故止めるのですか? 学園長。相手の様子からして、この面子で勝負をかければ十分勝てると思いますが」
「僕の能力の有効範囲外を出た途端、Kに嘘の記憶を書き込まれて操られる。愛弟子を手にかけたくはないでしょう」
「そいつの言うとおりだ。Kの《記憶操作》の対策が出来ないうちは、あんたみたいななまじ実力のある人間が一番足手まといになる。ここはこちらも撤退が正解だ。というわけで、帰るぞ、お前たち。俺をアジトまで案内しろ」
Sさんはそう言った後、部下の人たちを連れて、いや、部下の人たちに連れられて帰って行った。
「さて、俺も帰るか」
スレッドマンはジャンプひと跳びでどこかへ去っていった。
どうやったらあんなに跳べるんだ。
「僕らも帰ろう。みんなこの魔法陣の中に入ってくれ」
俺達は学園長の《転移術》でこの場を去った。




