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学生警察の活動記録《バトルレコード》  作者: 大道寺司
真夏の悪夢《サマーナイトメア》編
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奴隷の末路

「万屋を殺すなら俺を殺してからにしろ」


 俺の迂闊な行動が仲間割れを招いてしまった。

 どうして俺はいざという時に限って冷静でいられないんだ。


「待て、隼人。今は俺たちで争っている場合じゃない」


「だったら、万屋にかかった催眠術を解く方法を考えろよ」


「それは......」


 頭が全く回らない。

どうすればいいのだろうという漠然とした焦りだけが頭の中を埋め尽くす。


 その様子を見かねた隼人は俺を見限った。


「はぁ。頭のキレる奴だと思って今までついてきてたけどよ、仲間のピンチに何もできない奴にはもうついていけない。この事件が終わったらお前を隊長の座から引きずりおろしてやる」


 それを聞いて崖の上にいるKが話に割り込んできた。


「ははっ。これは予想外の展開ですね。まさか正気の者同士で喧嘩するとは」


「うるさい!黙ってろ!」


「おお。怖い怖い」


「夢想。お前はどうなんだ? 仲間に引き金を引くような奴の下に今後もいるのか?」


 魔子は少し考えるような間も後、口を開いた。


「私は201小隊の隊長。202小隊の隊員じゃない」


「今はそんなことを聞いているんじゃねぇ。お前も俺達と一緒にこいつの指揮の下で戦ってきた。これからもそうするのか聞いているんだ」


「私は真についていくよ」


 魔子の答えに隼人は理解に苦しんでいるようだ。俺も驚いている。


「気でも狂ったのか? 次に何かしらの理由で殺されるのはお前かもしれないんだぞ!」


「それでも構わない」


「マジかよ......」


 魔子の言葉の真意は分からないが、仲間からの信頼を完全に失ったと思っていた俺の気持ちは少しだけ救われた。

 頭も少しは回るようになった。


「隼人」


「何だよ?」


「俺が悪かった。焦って冷静な判断力を失っていた」


「分かればいい。だが、いざって時に冷静さを欠く奴を隊長にはしておけねぇ。少なくとも俺が問題ないと判断するまでの間の隊長の座は後で貰いに行くからな」


「それは構わん。それより、Kを倒す方法を考えよう」


「何?」


「催眠術を解くことが出来るのは分かってる。再びかける者がいなくなれば洋平は元に戻る」


「それはどうでしょう?」


 またもやKが割り込んでくる。


「僕を倒すというだけでも至難の業だというのに、万屋が死ぬまでにとなると不可能かと思いますが」


「ふん。お前みたいな人を操って、自分は高みの見物を決め込んでるような奴に負けるつもりはねぇぜ」


「ああ。俺ももう洋平に危害を加えるつもりはない」


 威勢のいい隼人の声に俺も応える。

 しかし、Kは一向に余裕そうな態度を崩さない。


「あなた方にそのつもりが無くても、他に万屋に危害を加えられるものがいるでしょう」


「どういう意味だ?」


 Kは隼人の問いへの回答だと言わんばかりにこう言い放った。


「万屋。自害しなさい」


「なっ!?」


 俺達が振り返ると洋平は持っていたナイフで自分の心臓を突き刺そうとしていた。


「俺が止める! 今だけでいい。限界を超えろ俺の体ァ!! 《倍速行動アクセルムーブ 四倍速クアトロアクセル》!!!」


 隼人は自分の異能力の限界を超えて加速し、洋平が手にしていたナイフを弾き飛ばした後、地面に衝突した。


「間に合ったか?」


 隼人は少し安心したような表情で立ち上がり、洋平の方を向いた。


「K様の意思のままに」


 洋平は舌をかみ切って自害した。

 洋平の体は前方に倒れ、淡い光に包まれて消滅した。


「クソがぁぁぁぁ!!!」


 隼人は激昂し、地面に衝突したときに落とした刀を乱雑に拾い上げ、崖の上にいるKを睨みつけた。


「お前は絶対に殺す!!! 《倍速行動アクセルムーブ 三倍速トリプルアクセル》!!!!!」


 隼人は異能で加速して走り出し、崖を駆け上がってKに斬りかかった。


「そんなに振りかぶっていては胴体ががら空きですよ」


「ぐはっ」


 Kは三倍速で動く隼人の動きを捕らえ、みぞおちに突きを入れた。


「何でお前みたいな奴に......」


「指揮官である前に最強の兵士であれ。僕の座右の銘です。兵士より無能な指揮官など三流以下もいいところです。それに、あなたごときの行動速度が高々三倍になったところで僕にとって大した問題ではありません」


「クソ......」


 隼人は気を失って落下し始める。


「魔子!」


「まかせて」


 魔子は異能力で顕現させた翼で飛び、隼人を回収した。


「どうですか? 実力の差を知っても尚、立ち向かって来るというのならお相手しますが」


「くっ」


「!!」


 俺達が強敵を目の前に立ちすくんでいると、突如、Kが何かを察知したように頭の位置を真下にずらす。

 一つの弾丸がKの頭上すれすれの位置を通り過ぎる。


「狙撃手ですか」


 Kは索敵を開始する。

 しかし、成果は得られなかったようだ。


「何のカラクリか、狙撃手の位置が特定できませんね。まあ、大体の方角が分かっていれば問題ないでしょう。おや?」


 Kが俺たちの後方を見る。

 振り返ると、三人の人影がこちらに近づいて来ていた。

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