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学生警察の活動記録《バトルレコード》  作者: 大道寺司
真夏の悪夢《サマーナイトメア》編
82/199

《非モテ雷神》VS《疾風の王子》

「雷鳴君。自信満々なところ悪いけど、君と僕とじゃ異能力の格が違うんだよ。君に勝ち目なんて無い」


「それはどうかな?」


「何!?」


「風間君が言ってるのって異能力が《第一段階ファーストフェーズ》か《第二段階セカンドフェーズ》ってことでしょ?」


「!! 何故それを?」


「天賦ヶ丘さんに教えてもらったのさ。《第一段階ファーストフェーズ》は《未覚醒》とも呼ばれていて、眠っている異能力人格から力を借りている状態。異能力の一部の力しか使えない。対して、《第二段階セカンドフェーズ》は、別名《覚醒》。目覚めた異能力人格に体のコントロールを渡すことで、異能力のほぼ全ての力を引き出せる。その代わり、主人格の身に付けている技能は使えない。ってところかな。」


「間違いではないね。」


「そして体が異能力人格のコントロール下にある間、瞳の色が濃くなる。こんな風にね。トール!」


「その濃い黄色の瞳......《第二段階セカンドフェーズ》に到達してたか。お前が雷鳴君の異能力人格か」


「ああ。お前も本当は風間じゃなくて異能力人格なんだろ?」


「いや、僕は少し特殊でね。この体の人格は風間翔ただ一人だよ。その代わり、《第一段階ファーストフェーズ》を装うための機能が色々付いてるんだ」


「難しいことはよく分からねえが、早くやろうぜ。お前も使えるんだろ? 《解放》を」


「ああ。《第二段階セカンドフェーズ》に到達した者だけが使える異能力を用いた強化状態に到達する技......僕のは少し他に比べて見劣りするけどね」


「じゃあ、最初から全力で行くぜ!!」


「ああ。」


「《帯電》!!」

「《疾風》」


 落雷が俺に大量の電気エネルギーみなぎらせる。


「行くぜ! 《リミッター解除》!!」


「遅い。《疾風斬り》」


 気が付けば風間の刃が首のすぐ手前まで迫っていた。

 でも......


「はあっ!」


「何!? 受け止めただと!? 人間の反応速度では見てから対応出来ないところまで刃は届いていたはず......読んでいたのか?」


「ご主人ならあり得たかも知れないが、俺にそういう駆け引きみたいなのは無理だ。全身を流れる電流を電気信号として体を強制的に動かすことによる超反射運動だ。ある程度までなら速い攻撃も見てから反応できるって訳だ」


「なるほどね。だったら......」


 風間は俺から距離を取り、剣を天に掲げ、剣先に空気の渦を作り始めた。


「対応できない大技ならどうかな?」


「そんなに溜めの長い技、俺が撃たせると思ってんのか?」


 俺は右手に握っていた剣を風間に向かって投げつけた。

 それに対し、風間は溜めの状態を保ったまま最小限の動きで剣を避けた。剣は風間の後方の地面に突き刺さる。


「ははっ。大口を叩いた割にわざわざ武器を捨てるだけとはね。さぁ、これで終わりだ」


 風間が何かしゃべっている間に俺は飛び上がり、投げた剣と風間が描く直線上に位置どった。


「《サンダーボルト》!」


「ぐあぁぁぁ!」


 俺は自分が投げた剣に向かって大量の電流を放出した。俺と剣の間にいた風間はその電流を浴び、大ダメージを受けた。同時に風間が作っていた空気の渦も消え去った。


「お前が大したことなくて助かったぜ」


「何ィ......?」


 風間は立ち上がりながらこちらをにらみつける。


「お前の《解放》......《疾風》だったか? あれは自分に追い風、相手に向かい風ってなるように周囲の空気の動きを操作して自分に有利な状況を作り出す技だ。本来ならその風のせいで投げた剣もどっかに吹き飛ばされてただろうし、飛び上がる時も強風で押さえつけられたはずだ。だけどお前は《疾風》と大技とやらの溜めの両方を同時にやってのけるだけの能力が無かった。そのおかげで、溜めの時は自由に行動できたぜ」


「剣を手放したのも計算のうちだったのか?」


「計算って程の事じゃねえけど、そうだな。俺は高出力の放電のコントロールが苦手だから見慣れた的が必要だったんだよ」


 ここで風間はニヤリと笑みを浮かべる。

 何か企んでるな。


「君が剣を投げて油断している隙に大技を撃ち込まれてしまったようだね。だけど、そのおかげで今の君は丸腰だ。さっきの電流に耐えた僕なら君と的の間にさえ入らなければ、君の電流にも耐えられる!」


 そう言って、風間は斬りかかってきた。

 なるほどな。さっき以上の攻撃と斬撃を防ぐための剣が無いと踏んでの特攻。避けられないように真上からの強い風が俺の体を押さえつけてる。

 こりゃ負けたな。俺に何かあると悟らせてなかったらの話だが。


「《スタンガン》」


 俺は風間が何か企んでいると気付いた時から体の後ろに隠して作っておいた電気の玉を風間にぶつけた。まっすぐ向かって来るだけの的に当てるのはとても簡単だった。


「くっ。体が動かない」


「全身痺れた気分はどうだ? そのまま俺の一番の大技を見てろ」


「はったりだね。君が的にしてるっていう剣はあらかじめ吹き飛ばしておいた。さっきの大技は使えないはずだ」


 確かに剣が辺りには見当たらなかった。終わったら探さなきゃな。めんどくせ。


「確かに俺は高出力の電流を狙った所に撃つのは得意じゃねぇ」


 俺は体にある全ての電気エネルギーを天に向かって放つ。


「ははっ。随分ひどく外したな」


「何言ってんだ。俺が苦手なら俺がやらなきゃいいだけの話だろ?」


 それを聞いた風間はハッとする。


「まさか、雷雲が雷を落とす自然の仕組みを利用するって言うのか?」


「その通り。《裁きの雷鎚いかづち》!!!」


「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 風間は立ってこそいたがダメージは大きく既に限界を迎えていた。


「勝負あったみたいだな。俺の勝ちだ」


 俺の言葉を受けて風間は最期にこう告げた。


「まさか君に負けるとはね。僕が消滅しても僕の仲間が僕の敵を取るだろう。また冥界で会おう」


 風間は光に包まれ、その光と共に消滅した。

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