雷鳴リターンズ
「さぁ、今度こそ君達の番だ」
風間は、あーしらにとどめを刺そうとゆっくり歩み寄ってきた。
あーしの考えが甘かった。
あーしは、みんなとの元の関係が壊れるのを恐れて、新しく手に入れた力を隠していた。新しい力はみんなに見られないところで人知れず敵を屠るのに使えればいいと思っていたし、まだ一度ではあったけどそうしてきた。
その結果がこの様だ。みんなの前で力を使うのをためらっている間に、みんなのうちの一人であるはずの切島を見殺しにしてしまった。
みんなに本当のことを打ち明けるか、もしくは何かみんなと戦闘に参加する方法を考えないといけないな。
でも、まずは......
切島が殉職したのも岸田が気絶したのもあーしのせい。責任取って風間を叩きのめす!
その時だった。
小瓶に再び手を伸ばしたあーしと剣を振りかぶった風間の間に大きな雷が落ちた。
その衝撃はあーしと岸田、風間を少し吹き飛ばした。
「な、何だ?」
落雷によって起こった土煙が収まってくると、だんだん見覚えのあるシルエットが浮かび上がってきた。
「女の子や弱っている人に剣を向けるなんてカッコ悪いぜ」
「雷鳴君!」
稲妻の如く現れたその男の名は雷鳴徹。行方不明になっていた101小隊の雑用係だ。
「久しぶり、雷鳴君。見かけないからとっくに殉職したと思ってたけど」
「風間君こそ、殉職したと思ってたら仲間に攻撃してるしどういうことだ?」
「殉職しそうになったタイミングで《ラグナロク》のリーダーのKさんに助けてもらってね。それ以降、忠誠を誓っているという訳さ」
「そうか。俺は指名手配犯の天賦ヶ丘秀一さんに軟禁されていたんだ。本人を倒したら出ていっていいって言われて、今日倒せたから出てこれたんだ」
天賦ヶ丘秀一って確か最強の指名手配犯の《無能潰し》のことだよな?
こんな短期間でそんなのが倒せるくらい強くなったってことか?
「糸川さん」
「はい」
驚いているときに話しかけられて他人行儀な返事をしてしまった。
「今の登場かっこよかった? 惚れた?」
イラッ。
結衣は何とも思ってなかったみたいだけど、あーしにはその態度がとても不愉快だった。これが生理的に無理というやつなのだろうか。全身に虫唾が走り、あまりの不快を隠すことが出来ず、顔に出てしまっているのが自分でも分かる。
「糸川さん、怖いよ......前はそんな顔する人じゃなかったのに」
危ない危ない。あくまであーしは糸川結衣として振舞わなければならない。この嫌な態度を前に顔色一つ変えずにいるのはかなりの重労働だけどな。
「まあいいや。少なくともうちの隊の女子からはいつもこの反応だし。それより、岸田君を学校の保健室まで運んでくれるかい?」
「それはいいけど、一人で勝てるの?」
「勝てるさ」
自信満々に言い放つ雷鳴と《無能潰し》を倒したという実績を信じて、あーしは岸田を背負ってその場を去った。




