新たな力
「撒いたな」
あーしは、ゴーレムに吹き飛ばされたふりをして学生警察を離脱した。岸田には少し怪しまれているようだが人前でこの力を使うのは控えておくのが妥当かな。
あーしは、ポーチから淡い光の玉入った小瓶を取り出す。小瓶を開けると、中の光がゆっくりと天に昇り始めた。
「逃げんなし。《束縛》」
体から伸びたリボンは光を捕まえ、体内に戻ってくる。こうして再び、私の肉体に霊ヶ峰の異能《心霊現象》が縛縛り付けられた。
「《憑着》」
体に自らの生霊を憑依させると、近くにいたゴーレムが二体、同時に襲い掛かってきた。二体のゴーレムの拳があーしに向かって飛んでくる。
あーしは体を一回転させ、その間に拳二つに蹴りを入れた。二体のゴーレムの片腕は粉々になった。
「あと数分で岸田が来るだろうし、ここのゴーレムにはこの位でいいかな。岸田が来るまでにやることやんないと」
あーしは、《憑着》で手にした身体能力と飛行能力を駆使し、学生警察のみんなに気づかれないように迂回し、その道中とこの後学生警察が通るはずのルートにいるゴーレムを瞬殺していった。
「そろそろかな」
腕時計を見て、ひとり呟く。
岸田があーしの元居た場所に辿り着く前に戻るにはそろそろ踵を返さなければならない。
「その前にこの三体はどうにかしないとね......!?」
時計を見ている間にゴーレム三体に囲まれたのはいいのだが、そのうちの一体からは少し懐かしさを感じた。
「斉木......いや、宿主である斉木を失った異能力人格の死霊ってとこかな。斉木が殉職する直前に目覚めてたのかな」
今はどこにいるのか分からないけど、異能力だけにでも再会できたのが嬉しく、自然と頬が緩んだ。
「能力の性質上、少し手荒になっちゃうけど、こっちにおいで。《束縛》」
あーしの体内から伸びるリボンはそのゴーレムから淡い光を取り出し、あーしの体内へ持ち帰る。
動力源である死霊を抜き取られたゴーレムは、たちまち動かなくなった。
「これからも一緒に戦おう。《念動》」
不思議な力が体の中から湧き出てくる。
あーしは、残り二体のゴーレムの方向に全力で蹴った。もちろん、蹴り自体は当たるはずはない。しかし、蹴りによって発生したエネルギーは念動力に変換され、二体のゴーレムを粉々に打ち砕いた。
これがあーしの異能力、もといあーし自身、《異能束縛》。異能を奪い、それらを組み合わせて戦う力。さっきは、《心霊現象》で得た身体能力から繰り出される打撃のエネルギーを《念動力》で念動力に変換して打ち出すことで、射程距離を拡張した。
「じゃ、帰ろうか」
思わぬ収穫があったあーしは、上機嫌で元の場所に戻り、岸田に救出された(フリだけど)。




