女子高生は嘘をつく
次の日、《エンデ・デア・ヴェルト》のS隊の元へ向かう道中、私は昨日の会議で疑問に思った内容を本人に尋ねてみることにした。
「糸川さん」
「何かな?」
「昨日の会議の報告、あれは嘘だな」
それを聞いた糸川さんは驚いた表情を見せた。雰囲気は変わってもすぐ顔に出るところは変わっていない。
「どうしてそう思ったのかな?」
「嘘は最も身近な悪だ。見破るのは慣れている」
「理由になってないよ」
「とにかく、何故あの場で嘘をついた。学生警察としてあるまじき行為だ」
糸川さんは挑発するかのような口調でこう返してきた。
「私が何故嘘をついたのか......学生警察なら捜査してみるといいかもね」
「何?」
「私を嘘つきと言うのなら岸田君の正義で討ってくれても構わないよ」
「? それってどういう......」
「止まれ!」
突如、竹中先輩の大きな声が響く。
「どうしたんですか?」
「周囲をゴーレムに囲まれたらしい。俺と魔子で道を開く。後ろの守りは任せたぞ」
「分かりました。糸川さ......」
自らの隊の隊員である糸川さんに伝えようと振り返ると、そこには糸川さんの姿がなかった。
「御劔先輩、糸川さんはどこに?」
「ああ、彼女ならさっきこのゴーレムに殴られてあっちの方に飛ばされちゃってね」
御劔先輩は、進行方向に垂直な方角を指差した。
「私が行きます」
そう言うと、御劔先輩が驚いたように、
「一年生一人だけで大丈夫かい?」
と言った。
「糸川さんは、私が救います」
彼女が先ほど言った言葉、会議の時とは打って変わって本音で話しているように思えた。言葉の真意こそよく分からないが、まるで自分が悪であるかのような口ぶりだった。
今の糸川さんには私が知らない何かがある。それを確かめるためにも、今は彼女を救う。
「《光子聖剣》」
一番前のゴーレムの股の下をくぐる瞬間に、一筋の光がそのゴーレムを二つに割る。
「出し惜しみは無しだ。最速で突破させてもらう」
光の剣は、すれ違ったゴーレムの片足を次々と切断し、足を切断されたゴーレムはもれなく体勢を崩して動けなくなった。
これでこれより後ろにいるゴーレムは、先輩方のところへ近づきづらくなったはずだ。
私はそのまま糸川さんのいる方へ走った。




