再戦に向けて
「これより、作戦会議を始める。尚、先生方及び三年生は不在の為、ここにいる一年生と二年生で行う」
竹中先輩を司会、夢想先輩を書記に据えて会議は始まる。
私も先程目が覚めたばかりだが、何故か風間君に斬られたはずの右腕をはじめ、あらゆる傷がまるで初めからなかったかのように消えていたので、出席している。
「今回、四手に分かれて戦闘することになったから状況の把握がまだ不完全だ。指名する順に被害と得た情報を教えてくれ。まずは、岸田」
「はい」
私は自分の席から立ちあがって説明を始める。
「私は、元101小隊の風間翔と交戦しました。学生警察時代は実力を隠していたようで、殆ど歯が立たず、右腕を斬り落とされました。そのまま気を失っていたのですが、目が覚めると傷が無くなっていました。また、風間は戦いの終盤でそれまでとは段違いのスピードを見せました。私に対しては力の全てを出していない可能性があります」
夢想先輩は話を聞きながら鎌を振り回している。鎌の先端に括り付けられた鉛筆がノートに議事録を記しているようだ。
「次、糸川」
「はい。私と斉木君は霊ヶ峰幽と交戦しました。私は怖くてその場から逃げました。しばらくすると大きな物音がしたので、恐る恐る確認しに行ったら斉木君と霊ヶ峰が相打ちになったところを目撃しました」
「あの霊ヶ峰を倒したのか?」
竹中先輩が少し驚いた様子で聞き返す。
「そうです」
「まあいい。次、遊夜」
「はい。僕らは剣技王の四番弟子、武田恭子と交戦しました。剣崎さんと何か因縁があるようで、それが原因で右半身が機械化されています。その機械を利用して高速移動と透明化が可能なようです。また、非常に高度な機械の為、整備のためのメカニックがいると考えられます。被害は、剣崎さんが軽傷を負ったのみです」
「分かった。最後に、俺達だな。俺たちは元《シャドウ》の壁山及び彼が連れてきたゴーレムと交戦。被害はゼロで、ゴーレムの破壊と壁山の撤退に成功した。そして、これは推測だが、今回、町にゴーレムを放った《ラグナロク》の目的は俺達の戦力を削ることだ」
「何!?」
みんなが一斉に驚きの声を上げた。
「何故、そう言えるんです?」
私の質問に竹中先輩が答える。
「《ラグナロク》のリーダーから伝言が届いた。『サプライズを用意して待っている。』とのことだ。町に被害を出したいならこんなことは言わないだろう。それに、ゴーレム達も数の割には町への被害は少ない。恐らく、町を守るために出てきた俺達を優先的に攻撃するように指示されているんだろう」
「なるほど。となると、この戦いは《ラグナロク》と正面から立ち向かわなければならないということですね」
でも、勝ち目なんてあるのか?
先生方も各々の任務で不在。斉木君の殉職で更に戦力ダウンだ。
そう考えていると、竹中さんが口を開いた。
「今現在、一年生二名と二年生三名、助っ人が二名しかいない。戦力としては足りなすぎる。そこで、一つ賭けに出る」
「賭けと言うと?」
「ああ。二日後には精神異常で倒れていた隼人と切島が動けるようになる。その間に、戒の兄弟子と天子さんがいる《エンデ》のS隊に協力を要請する」
「な、何~~~!?!?」
こうして、本来、学生警察の敵である異能力者狩り集団《エンデ・デア・ヴェルト》の穏便派のトップ、S隊の元を訪れることになった。




