幻想の力
「あのゴーレムの能力は分かった。やれるな? 魔子」
「物理攻撃が効かないだけでしょ? 余裕」
私は、鎌をクルクルと回しながら答える。
「それじゃ、壁山の相手してるからそっちは任せたぞ」
真はそう言って、壁山と交戦を始める。
私もゴーレムを始末すべく異能を発動。
背中に悪魔の翼が顕現する。私の能力は異能力の中でも特に希少な《幻想種》に分類される異能力、《悪魔》。悪魔の能力をその身に宿す力。
私は、顕現した翼でゴーレムに向かって飛んで行き、周りを飛び回った。
「反射の境界はこの位かな」
私はゴーレムの周囲を触れまくり、反射の境界を把握した。
途中でゴーレムが何度か私を殴ろうとして自分を殴っていてひびが入っていた。
「あそこから崩せるかな」
私は自前の鎌を近くの屋根の上に置き、異能力で悪魔の鎌を顕現させる。
再度、ゴーレムの周りを飛び回り、私を殴ろうとするゴーレムをひびの箇所が無防備になるような体勢に誘導する。
そして、鎌に集約した闇のエネルギーと翼によって得た運動エネルギーを乗せて、脆くなった箇所に渾身の一撃を叩き込む。
「《粉砕死鎌》!」
《幻想種》の異能は、空想上の存在の力を使用する能力。空想上の存在は、存在するが実在しない。《幻想種》の異能にはこのことに起因する共通能力がある。それは、物理法則を無視できること。
反射の境界線が分かれば、その瞬間のみ物理法則を無視することで反射から逃れることが出来る。
「終わったか?」
「うん」
戦闘を終えると壁山がつまらなそうに話し始めた。
「あーあ、壊されちゃったか。まあいい。君達の目的である指宿魂子は既に別の場所に避難済みさ」
「何!?」
「君の予想通り、今回の戦いはただの時間稼ぎ。全て茶番さ」
突然、壁山の頭上にドローンがやってきた。ドローンは一切れの紙を落として去って行った。
「? ボスからの伝言か。何々? こ、これは......!?」
「何だってんだよ!」
私は音読をもったいぶる壁山にイラつきつつも内容を尋ねる。
すると、壁山は紙を上下逆さまにして、
「これ逆だわ」
と言った。
「ふざけてんじゃねえぞ!」
「まあ怒るなよ。ボスから君達に伝言だ。我々を追うなら好きにすればいい。面白いサプライズを用意して待っている。だってさ。じゃ、僕はこれで」
「逃がすかよ!」
私が壁山に攻撃しようとした途端、壁山が大声で叫んだ。
「いいのかなぁ! 君たちは大丈夫でも後輩たちは重傷で道端に転がってるかもね?」
「くっ」
壁山はそのまま姿を消した。
「今追っても無駄だ」
「真?」
「雑兵を絶やさないように指宿を匿ってこそいるが、相手の言いようから察するに《ラグナロク》は俺達の戦力を削ぐのが目的だ。後輩たちの保護を優先すべきだ。」
「分かった」
その後、何故か無傷で倒れていた岸田を発見し、担いで学校に戻った。




