決戦
岸田君目線です。お楽しみ下さい。
「行くぞ!」
「来い!」
私達はそう言って戦い始めた。私、岸田正義は彼、雷鳴徹の実力は尊敬に値すると思っていた。しかし、その尊敬が失礼に値することを剣を交えて思い知らされた。
「私の剣が全く通じないだと!?」
「違ってたら悪いんだけど、岸田君は剣の師匠とかいないでしょ」
図星だった。私の異能《光の支配者》はやれることは多いが、その反面、攻撃力は他の属性操作系能力と比べて劣る。それをカバーする為に剣を持ったものの、私の異能と組み合わせて使うのだから師匠はいらないと思ったのだった。
「その通りだ。しかし、それを今、嘆いていても仕方ない。今すべきことは、なんとか剣術の差を埋めることだ。《発光》」
「単なる目眩ましじゃないか」
雷鳴君はそう言うが、確実に効いている。そう判断した私は、彼の利き足を光の弾丸で撃ち抜いた。
「ぐっ。でも、おかしい。せっかく目眩ましをしたのになぜとどめをささない!?」
言い終わると同時に彼は驚愕した。無理もない。今の私が出せる最大数の虚像を彼は目の当たりにしているのだから。
《虚像 複製》
彼は虚像を全て消そうとするだろう。しかし、利き足は負傷している為、むやみやたらに動く訳にはいかない。そうなると、先程の体力の消耗が激しい《放電》を使わざるを得ない。そして、体力がなくなったところで決着をつける。
「《放電》。」
彼の雷は、私の全ての虚像を正確に無駄なく消してしまった。
「ちゃんと制御すれば、体力の消耗を最小限に出来るんだぜ」
彼は前方に本体がいないと思ったのか後ろを振り返った。が、そこには誰もいない。私は彼から見た、さっきまでの前であり、今の後ろである場所で姿を消しているのだから。先程から口を開いていないのはこの為だ。
《虚像 透明化》
私がいないかのように見せることで姿を消したのだ。体力を消耗させて、完全に後ろを取った。完全に私の計算通りだったが、結末は勝利ではなかった。
「《石楠花》」
異能ではなく、純粋な剣の技術。私の剣は彼の振り向く瞬間にいとも容易く弾き飛ばされてしまった。私は、動揺して透明化を維持出来なくなったところを斬られてしまった。そして、学園長の言葉が彼の勝利すなわち私の敗北を告げる。
「Cブロックの勝者、雷鳴徹!」