最強の弟子
「《神剣 攻の型 空間砕き》!」
俺は間合いに入ってきた武田に剣を振るう。
「《神剣 守の型 空蝉の脱出劇》!」
武田は攻撃をいなしながら、素早く攻撃範囲から外れた。
「ちっ。まだそんな技を持ってやがったのか」
「自分の専門の型をマスターしない限り、他の型については基礎すら教えない師匠の方針が仇になったわね。これでまだこちらの有利は変わらない......」
「それはどうかな?」
突然、後ろから最近聞いた声がした。
「あ。サヴァさん。今まで何してたんですか?」
「御劔君。君は走って行ったから早く着いたかもしれないが、私は歩いていたのだからこれくらいについても何の不思議もないはずだ」
あの野郎ふざけてんのか。
とは言え、現状じゃ武田を倒しきれないのは事実。何か打開の鍵になればいいが......
「お前、なんか出来んのか?」
「その女の本名を教えたまえ」
「質問に答えろよ!」
「早くしたまえ」
「ちっ。分かったよ。武田恭子だ」
名前を教えるとサヴァは取り出した本に何か書き始め、その内容を音読した。
「武田恭子は、剣崎戒の攻撃でいなしきれなかった微少の傷が原因で機械が不具合を起こし、一部の機能が制限される」
それを聞いた武田は馬鹿にしたように笑う。
「何それ? 私の右半身は見ての通り正常......」
武田が見せつけるかのように右手を動かすと、右手は不自然な音を鳴らし、火花を散らした。
「っ。嘘......壊れてる。よく使う高度な処理を要する機能は全て使えない。まさか、機械へのダメージが最も悪化する行動を誘発させられた?」
「後は、任せる」
困惑する武田を他所に、サヴァはまたどこかへ消えていった。全く勝手な奴だ。
さて、元は俺を恨んで向こうから襲い掛かってきた訳で個人的には戦う理由もないが、竹中に協力すると言った以上、弱らせてから御劔に逮捕させるくらいのことはすべきだな。
「武田。これで力関係は兄弟子と妹弟子に戻った訳だが......容赦はしないぞ」
「くっ」
俺は、剣を構えながら武田に近づく。
しかし、途中で地面に薄っすらと線が見え、これを超えることは死を意味することを直感で感じ取った。
「これは......!?」
「それ以上前に出ることは許可しないわ」
「お姉さま!」
予想よりもはるかに遠くから話しかけてきたのは俺の姉弟子。剣技王の弟子の中でも最強の女、高梨佳子。
姉弟子を最も慕っていた武田は、姉弟子の登場に感嘆の声を上げる。
「恭子。こっちに来なさい」
「はい!」
武田は、嬉々として姉弟子の元に向かう。
「それじゃ、今回はこの辺で。分かってると思うけど追いかけてきたら私の間合いに入り次第殺すから」
あの間合い......俺が最後に見た時の倍以上だ。
もっと強くなんねえといけねえな。俺の目的のためにも。
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