力を求めし者
「カラ......コセ!!」
「何?」
「力を寄越せ!!!」
体から出現したリボンが霊ヶ峰の体へ再び伸びる。
「何する気だ!! やめろ!!!」
霊ヶ峰の叫びはお構いなしにリボンは体内に侵入し、何かを探して動き回る。
リボンが霊ヶ峰の体から淡い光を取り出し終えた頃には、自分の能力と自分自身について理解が追いついた。
「《束縛》」
リボンは淡い光を縛り付けたまま、その光ごと私の体内に戻ってきた。
「ボクに何をした!?」
「何だと思う?」
「答えないなら力ずくで吐かせてやる......何!? 何故、能力が使えない!?」
「それは、あんたがもう異能力者じゃないからっしょ」
「何!?」
「論より証拠。《憑着》」
私は、記憶の片隅にあった方法で霊ヶ峰の異能を使った。
「信じられない......実力を隠していたとでもいうのか?」
「いや? さっきまであーしは、そもそも存在してなかったし」
「そうか! 《第二段階》! 主人格が崩壊して異能力であるお前が第二人格として目覚めたってことか」
「全然違う。それだとあーしは元々存在してたことになるじゃん。あーしは、糸川結衣の崩壊した主人格と眠ったままの第二人格が苛烈な精神的負荷によって変質し、変則的な融合をした結果生まれた、本来存在しないはずの異能力人格。一言で言い表すなら、《虚数段階》ってとこかな」
「何だよそれ......そんなの聞いたことないよ......」
「あーしが、初めてなんじゃない? それより、なんか言い遺すことある?」
「そうか。異能力がなくなった今、ボクは殺されるのか」
「やけに落ち着いてんね」
「裏社会の住人になってからいつかこんな日が来ること位は覚悟してたさ。敵は取ったとでも斉木に伝えるといい」
「そう」
その後、霊ヶ峰は息絶えた。
学生警察として世の中に貢献したい気持ちは残ってる。でも、それよりも仲間を守るための力を欲した結果、人を殺めてしまった。
それでも、あーしはみんなと一緒に戦いたい。
みんなの前ではいつも通り振舞おう。みんなに襲い掛かる脅威は陰で排除しよう。
例え間違っていたとしても、あーしは、これ以上仲間を失いたくない。
そのためなら、悪になっても構わない。世にはびこる悪をより大きな悪で塗り潰す闇のヒロインになってやる。
あーしは、いつもの格好に偶然持ち合わせたカラコンで瞳を元の色に偽装する。
「私は、糸川結衣」




