能力推理
「俺たちを足止めできるゴーレムか。一体どんな能力を持っているのやら」
「任せて、真。私が一瞬で切り刻むから」
魔子がいきり立って鎌を構える。
「まあ、待て。足止め用のゴーレムを連れてくるあたり、向こうの狙いは俺たちの足止めだ。指宿魂子を逃がす時間を稼ぐためのな。そもそも戦う必要が無い」
「ご名答」
壁山が後方の建物の屋根の上から答える。
「やはりな。そもそもお前の能力は俺達と相性が悪い。俺たちを倒すための人選とは思えない」
「バレたか。その通り。僕の能力にはいくつかの攻略法がある。それらのうち一つでも実現できるのは学生警察の中の一年と二年の中じゃ君達だけだ。君達には僕を倒すことが可能だ。逆に君達が僕の相手をするのが君達にとっての最適解。君達を引き付ける為に敢えてリスクを取ったんだ」
「すると、あのゴーレムの能力も俺達にしか攻略出来ない能力を持っているという訳か」
俺は、スナイパーライフルを取り出し、少し位置を変えて狙いを定める。
魔子が不思議そうな顔でこちらを眺める。
「そんな位置取りとか考えなくてもあんなに大きなゴーレムに当てるくらい簡単でしょ?」
「いや、恐らく俺じゃあのゴーレムには傷一つ付けられないだろう。でも......」
俺は、ゴーレムに向かって引き金を引いた。
銃弾は超高速でゴーレムを経由し、壁山の体をすり抜けた。
「危ないじゃないか! もう少し気付くのが遅れてたら透過が間に合わなかったよ!」
「俺が取り出したのが、《改造銃 性能特化 弾速》だと気付いていただろ? 不意打ちならいけると思ったんだが、流石はスパイといったところか」
「そっちこそ、ゴーレムの能力が物理攻撃反射だと気付いたみたいだね」
「いや、違うな」
俺は、やや大きな拳銃を取り出し、目を凝らす。
「《貫通弾》」
放たれた弾はゴーレムの右足に風穴を開けた。
「あーあ。これだから頭の回る奴は嫌いなんだ」
「???」
つまらなそうに舌打ちをする壁山とは対照的に、魔子は何が起きたか分からずキョトンとしている。
俺は魔子に解説を始める。
「あのゴーレムの能力は、自分を対象に取る物理攻撃の反射だ。俺達にしか攻略できない能力とはつまり、物理的な攻撃が工夫を施さなければ当たらないという性質を持つ能力だ。そこで真っ先に思い当たるのが反射。実際、試しに撃ってみたら銃弾は綺麗に跳ね返った。そしてゴーレムの左肩。あそこに鳥の糞がついているのが見えるか? もし、あらゆる物理的干渉を反射するなら鳥の糞はつかない。ついているのは、鳥にゴーレムに対する攻撃の意思がないからだ。鳥にとってはただ脱糞しただけ。つまり、ゴーレムは自分に向けられた物理攻撃しか反射できない。物理攻撃以外を反射する可能性は無いな。反射で最もよくある物理攻撃反射ですら制限がある能力だからな」
「じゃあ、なんでさっきの弾は当たったの?」
「簡単さ。あのゴーレム以外への攻撃なら当たるんだ。今は夏だから、少し目を凝らせば虫が飛んでいるのを見つけられる。虫に攻撃してその結果、ゴーレムに当たればいいんだ。虫には少し気の毒だけどね」
解説を聞き終わった後、魔子は目を点にしてこう告げた。
「ナルホド。スゴイネ、マコト」
これは、分かっていない時の反応だな。




