インビジブルファイター
「今のままならね」
そう言った武田の右半身は機械特有の駆動音を鳴らす。
「何する気だ?」
「データを収集出来なくしてあげる」
次の瞬間、武田の姿が右から少しずつ消えていった。
「ちっ。光学迷彩ってやつか。下がってろ」
俺は、もはや役に立たない御劔に下がるよう命じる。
ったく、面倒なことになったな。だが、全く手が出せなくなったわけじゃない。
折角、姿を消していても音が聞こえるようじゃ意味がねえ。さっきまでの猛攻は右半身の加速装置よるものだ。なるべく音をたてないようにしなければならない今の状況では使えない。つまり、今の武田は目には見えないがそれと同時に機動力が昔と同じまで落ちている。
それに、右半身の機械で全身を消すには高度な処理が必要だ。駆動音は完全には無くせないはず。恐らく、耳を澄ませば音が聞こえるだろ。
そう思った俺は耳を澄ます。しかし......
「何も聞こえない!?」
俺は、急いでその場から距離を取った。
すると、剣が地面に叩きつけられる音と同時に武田が再び姿を現す。
「相変わらず、第六感が良く働くみたいね」
そう言うと、武田は再び姿を消す。
そうだ。五感が駄目なら第六感。幸い、無能力者の俺は異能力者達と互角に渡り合ううちに通常ではあり得ない方向からの攻撃も殺気を元にある程度までなら感知することが出来る。
だが......
「くっ」
頬に一筋の赤い線が走る。
武田の右半身は機械化されている。当然、機械から殺気を感じることは出来ない。加えて、生身である左半身からは俺への恨みや憎しみからくる通常よりも強い殺気が発せられる為、他の奴とは違い、位置が実際よりもやや左に誤って感じ取ってしまう。
「このままじゃじり貧だな。あの技に賭けるしかないか」
あの技なら、大まかな位置さえわかれば当てられる。しかし、攻撃範囲が広い分、溜めも大きい。その時間を稼ぐだけの距離を取らなきゃならないが、距離を取ればその分感じ取れる殺気が薄くなるし、命中率も下がる。あたるかどうかは運次第だ。
「あの構えは......師匠と同じ......。ならば、溜めが終わるまでに切り伏せる!!」
武田は、姿を現し、右半身の加速装置で急激に距離を詰める。
「悪いな、武田。師匠が使うのよりショボい分、溜めが短いんだわ」
「何!?」
「《神剣 攻の型 空間砕き》!」




