機械仕掛けの剣士
「うおっ。」
俺は強烈な連撃を受けるのに精一杯で、得意の攻撃に回る余裕がない。
「どうしたの? 剣崎。あの時みたいに、どんどん攻撃して来てよ」
「チョロチョロ動き回りやがって。そっちこそ、そんな機械の機動力に頼った戦い方して、剣士としてのプライドは無いのかよ!」
「プライド、か......ふふっ。お前に復讐すると決めた時に捨てたよ」
「謝って済むような話じゃないこと位は分かってる。でも、お前の右半身への償いなんて一体どうすればいいって言うんだ?」
「簡単よ。私は本来死んでいたはずなの。たまたま稽古終わりに遊ぶ予定だった友達が助けてくれなかったらね。だから、命で償って。剣崎、お前は無能力者だから致命傷を受ければ死ぬはずでしょ?」
俺は武田の発言に少し違和感を覚えた。さっきの発言には矛盾がある。
確かに、無能力者の俺は致命傷を受ければ死ぬ。だが、武田は違う。あいつは異能力者だったはずだ。異能力者は致命傷を受けた時に一度だけ異能力と引き換えに死を免れることが出来る。詳しい理屈は明らかになっていないはずだが、それがこの世界のルール。竹中がやってる学生警察が成り立っているのもこのルールのおかげだ。
つまり、俺が稽古中の事故で半身を消し飛ばそうが、仮に全身を消し飛ばそうが、武田は五体満足で生き返ることが出来るはずだ。
「武田。事故とは言え、半身を消し飛ばしたのは悪かった。でも、一つ質問させてくれ。お前は異能力者だったはずだ。死ぬことは無かったんじゃないか?」
「何言ってるの? 私も無能力者......あれ? 確かに言われてみれば、異能力者だったような気もする」
武田は何故か記憶が混濁しているらしく、矛盾を指摘されて狼狽え始めた。
その間に竹中の仲間がやってきた。
「剣崎さん。応援に来ました」
「ああ。助かるぜ」
「嘘つき! 時間稼ぎのための嘘だったのね」
武田は再び攻撃の姿勢に入る。
助けが来たのは有難いが、さっきの話を助けが来るまでの時間稼ぎのための嘘と取られたようだ。
「おい! お前は何が出来る?」
「戦いを見てデータ収集すれば、相手の行動を計算できます」
「じゃあもう少し粘るからちゃんと見とけよ!」
あいつは確か御劔って奴だったか。能力的に。即戦力にはならないが今の状況を打開するにはお誂え向きだな。
そんなことを考えながら武田の猛攻をいなしていると、武田の動きが急に止まった。
「行動の計算か。そんなことされたら形勢逆転ね」
武田がそう言うと、機械化された右半身が何やら別の動きを始めた。
「今のままならね」




