正義を求めし者
「何故避けられる? 《旋風刃》は、殆ど見えないはずだ」
風間君は焦りを隠せない様子だ。
私は102小隊の隊長で、風間君は元101小隊の隊員。わずかではあるものの格上の相手だ。この隙をついて攻撃すべきだろう。
「戦いの最中に種明かしするほどお人よしじゃないぞ」
私は風間君と剣を交える。以前に何度か戦ったことがあり、風間君の剣技の癖のようなものは把握しているが、それでも攻撃はすべて防がれてしまい、これといった決定打を打つことが出来ない。
もう何度か金属音を鳴らした後、つばぜり合いになった。
「驚いたよ。岸田君がこんなにちゃんと戦えるなんて」
「どういう意味だ?」
「今頃、正義が何なのか分からなくなってると思ってたよ。同じ正義の味方だったはずの僕が敵として現れてさ」
「さっきも言ったはずだ。過去にそうであっても、今、悪に与する者とは戦うと」
「変わったね。考え方が。まあ、どうでもいいや。カラクリを見つける間に聞き流す内容にしては面白かったよ」
「何?」
風間君の表情からは既に焦りは消え、不敵な笑みを浮かべていた。
「君の能力、《光の支配者》は、確か不可視光も操れたはずだ。僕の《旋風刃》は圧縮された空気の刃。周りの空気とは多少屈折率が変わるから、自分が放った光が想定と異なる挙動をした位置に刃があるって訳だ」
「くっ。だが、分かったところで当てられるようになるわけではない。既に仕掛けてある刃の位置はすべて把握している」
「確かにそうだ。でも、普通に剣で戦ってもいいんじゃないかな。《追い風》」
風間君は自身に追い風を吹かせ、移動速度を格段に上げてきた。
今までほぼ互角だった剣戟が完全に防戦一方となる。
「どうしたんだい? 守ってばかりじゃ、勝てないよ」
風間君は私の周囲を縦横無尽に駆け回り、死角から攻めてきた。
私は対応しきれずに、完全に後ろを許してしまった。
「もらった!」
風間君は、すれ違いざまに私の胴を切り裂いた。
「......手ごたえが無い」
風間君は後ろを振り返るが、そこには何もなかった。
「《虚像》か。本体はどこだ?」
もちろん、答えない。
さて、この隙に風間君を倒すための策を考えなければならない。制限時間は今から私が見つかるまで。
時間と戦いが始まった。




