乱戦
後半は岸田君目線です。それに注意してどうぞ。
「君の首に付いてるものは何だ?」
少しの間にらみあって、岸田君が俺の首のリボンに気づいた。
「俺が糸川さんとの契約を守らなかったら、これで首を締められることになってる」
と俺が答えると、
「じゃあ契約を守らせなかったら、テメェはここで脱落ってことだな?」
切島君がそう言って、異能を発動。
「《剣蛇》」
両手を合わせた切島君の腕から長い刀身が蛇の如くのびていき、糸川さんに襲いかかる。俺は契約を守る為に刃をはじこうとするが、それは意味を為さなかった。
「刃が曲がったのか」
思わず口に出してしまう。攻撃に避けられるのは初めてだ。身を驚愕に包んだ俺に切島君は告げる。
「俺の異能は《柔軟たる刃》。両手を一定体積内であればどんな形状の刃にも変化させられる」
切島君の解説を聞いていると、糸川さんが苦しみながら口を開く。
「私に契約破棄の代償として彼を倒させる為にわざとギリギリ耐えられる威力に抑えたのね。いいわ。やってあげる」
まずい
とは思わなかった。
「《戒め首輪》」
糸川さんが異能を使う前には俺は切島君の刃を掴んでいた。その直後から強烈に首を締められたがやられる前には異能を発動出来た。
「《放電》」
俺の電撃をくらったのは、刃の刺さった糸川さんと刃自身である切島君。前者は弱っていたのですぐに力尽きたが後者はダメージは受けたものの、力尽きはしなかった。
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一瞬の攻防で一人が力尽き、二人が弱っていた。私、岸田正義は全く何もできなかった。後悔の念が脳を埋め尽くす。しかし、これはチャンスでもある。残り三人で、自分以外は弱っているのだ。私は近くの切島君に攻撃を仕掛けるが・・・
「なめてんのか!」
思惑がばれていた。私は得物を弾き飛ばされてしまった。すぐさま取りに行くと切島君にダメ出しされた。
「戦闘中に背中向けて得物を取りに行くとかそれでも剣士かよ。くたばりな、《八岐大剣》」
ごもっともだが、私も学生警察になる為、日々精進してきた身。策がない訳ではない。私はその策を実行した
。
次の瞬間、八つにわかれた刃が私を串刺しにする。否、偽物の私を。
「《虚像》」
私は切島君が偽物を攻撃しているうちに距離を詰めて斬りかかった。
「ぐぁぁぁ!」
切島君はその場で倒れた。と思っていた。
その場を去ろうとすると、
「《雷撃銃》」
雷撃が飛んできた。しかしそれは私を狙ったものではなかった。後ろを見ると、切島君の刃が私のすぐ近くで止まっていて、すぐに死亡エフェクトと共に消え去った。
私は雷撃を放った人物に目を向ける。
「君の名を聞いていなかったな」
「雷鳴徹」
「さっきは助かった。その礼として、正々堂々、君と戦おう。雷鳴君。」
彼が学生警察を志す動機がモテたいからというのはあまり理解出来ないが、実力は認めざるを得ない。それに関しては尊敬出来ると素直に思った。
そして、私と彼は身構える。Cブロック最後の戦いが幕をあげた。