帯電!! 雷神の裁き
学園長から《伝心術》で撤退命令が出た。
しかし、こちらには撤退するだけの余力もない。
俺は、強烈な一撃をもらって動けない。
万屋先輩は、刀のゴーレムに敗れてしまった。
そして、緋ノ宮さんも万屋先輩を倒したゴーレムがやってきて二対一になったとたん、一方的にやられてしまい、満身創痍だ。というのも、刀のゴーレムが今まで相手にしていたムエタイのゴーレムに比べて段違いに強いのだ。
「まだまだぁ......」
緋ノ宮さんは立ち上がろうとするも、傷だらけの体はいうことを聞かず、再び崩れ落ちる。
そんな緋ノ宮さんに対して、刀のゴーレムはとどめを刺そうと刀を構え直す。
「《雷撃銃》!」
俺は動けないながらも異能力でとどめが刺されるのを阻止する。
すると、刀のゴーレムがムエタイのゴーレムに視線を向けた。
ムエタイのゴーレムは首を横に振ったような仕草を見せたが、刀のゴーレムに刀を向けられると、少し怒ったようにこちらに向かってきた。
「あ。ちょtt......」
俺はムエタイのゴーレムに持ち上げられ、コンクリートの壁に叩きつけられた。
「雷鳴!」
俺を心配する緋ノ宮さんの背後に再び刀のゴーレムが襲い掛かる。
「クソッ。俺様がやられたら火憐やみんなが......」
緋ノ宮さんが真紅の瞳に涙を浮かべてそう呟いた時、俺はもう一度壁に叩きつけられ、頭を打って気絶した。
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気が付くと無限に広がる草原のような場所にいた。
「どこだ? ここは」
見覚えのない景色を見渡すと一人の男を見つけた。
一見、俺と全く同じ容姿かのように見えたが、何かが違う気がする。
男はこちらに気付いて話しかけてきた。
「よう」
「お前は誰だ?」
「そんなことより」
俺のような男は、俺の質問を言葉で遮り、こう続けた。
「このままだとお前は死ぬ。俺がお前を助けてやること自体は可能だが、お前の体に大きな負荷がかかる。しばらくろくに動けなくなるが、それでもいいか?」
「待て」
俺は待ったをかける。
「緋ノ宮さんと万屋先輩も助けてくれ」
「断る」
俺のような男はきっぱりと断った。
「なんでだよ!」
「俺はお前にしか力を貸す気はない」
俺のような男はそう言うと、姿が段々、薄くなっていった。
「まぁ、勝手に助かりはするかもな」
そう言い残して、俺のような男は完全に目の前から消えてしまった。
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「さて、やるか」
俺は全身に電気信号を流し、ボロボロの体を無理やり使役する。
「邪魔だ!」
俺は俺の体を掴んでたゴーレムの拳を打ち砕いた。
「雷鳴?」
金髪ツインテールの女が不思議そうにこっちを見る。
こいつが緋ノ宮ってやつか。
「お前、まだ生きてたのか」
「ま、まあな」
緋ノ宮は目をそらして答える。
「そんなことより、頭の怪我、見せてみろ」
緋ノ宮は何かから注意を逸らすかのように話を変え、少し俺を見つめた後、目を見開いた。
「お前、その目......」
「下がってろ」
緋ノ宮の言葉を遮り、俺は告げる。
緋ノ宮が充分離れたことを確認して、俺は再び戦闘態勢に入る。今度は本気だ。
「《帯電》」
突如、天から落ちた雷は俺に直撃し、膨大な電気エネルギーを与える。
髪は逆立ち、体の周囲には電流が流れ、バチバチと火花を散らしている。
「行くぜ」
言葉と共に刀を持っているゴーレムに向かって走り出す。
だが、さっきのゴーレムが行く手を遮る。
「雑魚は引っ込んでな!」
速度は落とさず、ゴーレムを頭から真っ二つにして走り抜ける。
すぐに刀を持ったゴーレムまで辿り着いた。
「くらえ!」
渾身の一撃を放つが防がれてしまう。
その後も剣戟を続けるが、全く攻撃が通らない。
「ちっ。剣技じゃ歯が立たねえか。だが、これならどうだ?」
俺はゴーレムの前から姿を消した。
「俺の速さについてこれるか? ほら、後ろ!」
ゴーレムは俺を探そうと辺りを見渡しながら一方的に攻撃され続ける。
「ほら、目の前に......くっ」
ボロボロの体を酷使し過ぎたせいか、痛みが走り、ゴーレムの目の前で動きが止まってしまった。
「おい、お前!」
緋ノ宮が心配そうに大声をあげる。
ゴーレムはとどめを刺そうと刀を振り下ろす。
「お前の負けだ」
ゴーレムが刀を振り下ろし始めると同時にその体はどんどん崩れ落ち、攻撃は不発に終わった。
「やべ。これ、撤退できねえな」
ゴーレムが完全に崩れ去った後、俺も意識を失った。




