見た目はゴーレム
「くっ。駄目だ。守ることは出来ても攻め込む隙がねぇ」
俺様は今、ゴーレムと戦っている。雷鳴がいつものようにダサい負け方をして戦闘不能になったから一人で戦っているが正直なところかなり厳しい。
ゴーレムは何故かムエタイの技で攻撃してくるから行動のパターン自体は読みやすい。しかし、大きな拳が猛スピードで飛んでくるもんだから躱すので精一杯だ。どうにかして突破口を見つけたいが......
「緋ノ宮! 右だ!」
「え!?」
咄嗟に右を見ると土の拳が目と鼻の先にあった。もう避けられない。
俺様は咄嗟に拳に向かって炎を噴射し、出来る限り衝撃を軽減した。
「痛い......やべ、意識が......」
衝撃を軽減したとは言え、直撃だとやはりダメージが大きい。万屋先輩の言葉が無かったら確実に気絶してたな。でも、気絶なんかしてる場合じゃねぇ。俺様の役目を果たさなきゃ。
しかし、妙だ。少しずつ意識がはっきりしてきたとは言え、向こうにとっては追撃のチャンスだったはずだ。攻撃してこない理由が何かあるはずだ。まずは、さっき初めて起こったことだが、攻撃パターンの変化とその攻撃のダメージを軽減するための炎だな。前者は戦っているうちに回避行動が読まれたと考えるのが自然か。となると、炎が効いてるのか?確かにゴーレムには効かないと決めつけて使わなかったが試す価値はあるな。
「《炎の嵐》」
渦巻かせた炎がゴーレムを包み込む。すると、ゴーレムは炎の渦から出ようともがき始めた。熱がっているようだ。
ムエタイを用いて戦い、俺様の回避行動を予測して攻め手を変えてきたり、熱を感じるあたり、見た目はゴーレムでも行動はまるで人間だな。
「まずいぞ。緋ノ宮」
突如、万屋先輩が言葉とは裏腹にいつも通りの冷静で話しかけてきた。
「先程から能力で鳥と視覚を共有していたが、もう一体、刀を持ったゴーレムがこちらに向かっている。こちらは大丈夫だが、そちらは一人で戦えるか?」
「はい。攻略の糸口も見えてきましたし、大丈夫です」
返事をすると、万屋先輩は刀のゴーレムがいるという方へ向かった。
しかし、これが更なるピンチを招くことになるとこの時の俺様は知る由もなかった。




