パトロール《臨時小隊02》
私の名前は、岸田正義。今日は、夢想先輩と竹中先輩と共に臨時小隊02としてパトロールをしている。今はこれといった異変もないので先輩方の話を聞いて勉強させてもらっている。
「先輩方は任務の際に何か気を付けていることなどありますか?」
「ない」
夢想先輩は即答だった。竹中先輩は少し考えてから真剣な表情で答えた。
「仲間を失わないことだ。元々、人手が足りないんだ。いたずらにこちらの戦力を減らすべきじゃない。今回の件もそうだ。ほぼ毎年のこととはいえ、人数が大幅に減ってしまったから3人なんて少人数で動かなければならなったんだ」
私は、先程の発言で気になったところを訪ねることにした。
「ほぼと言いますと?」
「ああ。俺たちの1つ上、今の3年生は未だ誰も倒されていない」
「え? しかし、3年生は4人しかいないはずでは?」
「あの人達はあまりに強すぎるんだ。同じ年の入学者は新人戦で圧倒的な力の差を見せつけられ、自信を無くして退学したそうだ」
「退学......」
「仕方のないことだ。現301小隊は、入学式の翌週には上級生を含む全小隊に勝利するほどの逸材揃いだからな」
「そのような方々が何故、今回の件で動員されないのでしょうか。ゴーレムに市民が攫われているというのに。そんなに力があるのなら正義のために使うべきです」
「3年生は今、俺たちとは別の合宿に行っている。何かの調査も兼ねているらしい。要は手が離せないんだ。それに、あの人たちに正義感なんて欠片もない」
「そうなんだよ。それならこっち側に来ればいいのにね」
突如、会話に見知らぬ男が割って入ってきた。
「逃げるぞ、二人とも」
竹中先輩が強張った声で言った。
「そんなつれないこと言うなよ。寂しいじゃないか。それに、逃げようとしたら切っちゃうよ?」
切る? 見たところ刃物は所持していないようだが。
「お前に危害を加えるつもりはない。今回は見逃してくれ。非常事態なんだ」
「あの土塊のことかな? それなら竹中君が僕のおもちゃになってよ。そうすれば、竹中君が倒すはずだった土塊の5倍の数を僕が処分しておこう」
「困ったな。全員、生きて返す気はないということか」
「竹中先輩、誰なんですかこの人は」
会話が途切れたので先輩に男の正体を聞いた。
「奴は、指名手配犯の平本切継だ。奴の前ではいつ死んでもおかしくないと思え」
「? それってどういう......」
「いいから、合図をしたら光で奴の視界を奪え。逃げなきゃ死ぬぞ」
「分かりました」
いつも冷静な竹中先輩がこんなに慌てるなんて......
でも、やるしかない。
「いくぞ、3、2、1、go!」




