パトロール《臨時小隊01》
「はぁ?何も起こらなかったのにペンダントが割れたぁ?そんなわけないだろ」
「信じてよ、緋ノ宮さん」
俺は昨夜の出来事を話すが緋ノ宮さんには信じてもらえない。同じようなやり取りを続けていると万屋先輩が会話に入ってきた。
今は町のパトロールに来ているのだが、戦力の均質化のために臨時小隊が組まれている。この小隊は、俺と緋ノ宮さんと万屋先輩がメンバーだ。
「でも、水晶が淡く光って割れるっていう《適正魔術検出用ペンダント》を使用した時と同じことが起こったんだろ?なら、目には見えない変化があったんじゃないか?」
「目には見えない変化かぁ......」
「お前のことだから更にモテなくなる魔術とかじゃねーの?お前って顔立ちは結構良い方だし、性格もちょっとアレだけど悪い奴ってわけでもねぇし。でも、なんか全く魅力的じゃないんだよな。むしろ、キモイまである」
「ちょっと褒められてるから強く言い返せない......」
「静かに。何か聞こえないか?」
耳をすますと、万屋先輩の言葉通り、明らかに人ではない足音がこちらに近づいてくる。
音のする方へ目をやると、俺たちの倍程度の大きさの土人形がこちらへ向かっていた。
「あれが、学園長が言ってたゴーレムって奴ですかね」
「そうだな。恐らく、粘土で出来た巨人を誰かが能力か何かで操っているんだろう」
「俺が行きます。合宿ではいいところ見せられなかったんで、俺も一年のエースの一人だって所を見せますよ。先輩」
そう言って、俺は勢いよく飛び出した。
「おい、うかつに飛び出すのは......」
「花澤流剣じゅ......ぐはぁっっ」
刹那、体に重い衝撃が走る。
「くそっ。速さも威力も格闘技が使える緋ノ宮さん以上なんて」
「そりゃそうだ」
緋ノ宮さんが立てなくなった俺を背負って、ゴーレムから距離を取って答えた。
「あれはムエタイの動きだ。恐らく、プロ級のな。元々、攻撃の重さに重点をおいた格闘技であるのに加えてあの巨体なわけだから威力は相当だ。一発でも食らったらお前みたいになるだろうな」
「そんなの危険だ。万屋先輩がいるんだから応援を呼ぼう」
「いや、俺様が行く」
「待てよ、もし緋ノ宮さんもやられたらどうするんだよ」
緋ノ宮さんは間髪入れず、こう答えた。
「俺様の本来の役割くらい果たせなきゃ意味ないだろ」
ここまで読んで頂いてありがとうございます。大道寺司です。これからも不定期にはなりますが完結するまで投稿していきますのでよろしくお願いします。




