会議
ここは合宿会場の大広間。ここに俺、雷鳴徹を含む生徒12名と学生警察の情報収集部長、学園長、理事長が集まっている。今は、俺たちの同級生32人が倒された件についての話だ。
「生徒を大量に失うこと自体は毎年のことだ。裏社会の組織なんかが絡むとその学年の上位1割程以外は全員淘汰されてしまう。二年生が5人なのもそれが理由だ。しかし、襲撃という形では初めてだ」
学園長の言葉に対し、情報収集部長の影山さんが答える。
「その件ですが、その場にいた生徒の話によると襲撃したのは《シャドウ》元幹部の霊ヶ峰幽のようです。また、ドアを開けずに入ってきたとの証言から同じく《シャドウ》元幹部の壁山透も同行していた可能性が高いです」
俺はその言葉を聞いてふと疑問に思ったことを尋ねる。
「《シャドウ》は学生警察の情報収集部になったんじゃないんですか?」
「そうだが、原因は内部分裂だ。順を追って説明しよう。我々《シャドウ》は私が長でその下に幹部が4人、黄泉川心、壁山透、霊ヶ峰幽、そして内部分裂の首謀者であるKだ。やつはどういう訳か壁山と霊ヶ峰を引き抜き、自分と二人の部下を殺してどこかに消えたのだ。結果、質的にも量的にも人材が足りず、こちらのお世話になることになった」
みんな俯いて言葉を失った。しかし、沈んだ気持ちのままではいられない。次につなげる為に議論を展開しなくてはならない。
「じゃあ、その3人の能力は分かってるってことですよね」
俺は、得られそうな情報について尋ねる。
「いや、2人だ。Kは用心深い男だ。私にも能力を探ることはかなわなっかった。それで、残りの2人だが、壁山透の能力は《物体透過》。奴の体は任意の物体を透過できる。そして、霊ヶ峰幽の能力は《心霊現象》。自分の生霊を最大42体まで出して操ることが出来る。生霊の基本性能は本人と同じだが、物理的干渉の他に非生物に憑依出来る。そして、生霊に生霊を憑依させることでより強力な生霊を生み出せる。強力な生霊なら今回のように人間にも憑依出来る。私から話せることは以上だ」
「ご苦労。僕からも話がある」
影山さんの話が終わるのを見て、学園長が話始める。
「まず、Kについてだが、この場にいる者すべてにかかわることを禁止する。ここにいる中で奴に敵う者は僕だけだ。無駄な犠牲は出したくない。次に、最近町でゴーレムが出没しては人を攫っているらしい。君たちはこれの対処をお願いしたい。注意事項として指名手配犯の活動も同時に活発化していることも頭に入れておいてくれ」
皆が学園長の怒涛の指示に困惑している中、学園長は更に話を続ける。
「今回の任務は正直、どの生徒が殉職してもおかしくはない位危険なものだ。そこで、生徒に一人一つ、これを配布したい。暗鶚」
「せめて、戦闘でこき使ってくれよ......」
知らない男の登場に困惑しつつも、俺たちはペンダントを受け取った。透明な水晶のようなものがあしらわれている。
「説明しよう。それはてk」
「待ってください。その人、誰なんですか」
いかにもペンダントの話をしようとした学園長を遮り、俺は質問した。
「え? ああ、それか。よっちゃ......理事長のペットだ。ん? なんだか、実際本気で抵抗すればまあ勝てるが何故だか抵抗し辛いオーラがたちこめているな」
理事長が笑顔で凄まじい殺気を放っていた。
「生徒達に変な情報を吹き込まないで下さい」
「あっ、はい」
学園長は部屋の隅に瞬間移動し、三角座りで落ち込み始めた。
理事長は殺気を放つのを辞め、さっきの男を紹介してくれた。
「彼については私から説明します。彼は暗鶚麻志。元《シンプル》の幹部です。先日、襲撃された際に腕を見込んで私の下で働かせることにしました」
「まあ、よろしくな」
暗鶚さんの挨拶の後、理事長の合図で学園長が水を得た魚のように元気になって戻ってきた。
「諸君、このペンダントの説明をしよう。これは《適正魔術検出用ペンダント》だ。これに魔力を送り込むと適正魔術を使用したときと同じ効果が得られる。すなわち、魔術が使えない者に疑似的に魔術を使わせることで使用者の適正魔術が検出できる。だだし、使い捨てだからピンチの時に使ってね」
「ちょっと待ってください。適正魔術ってなんですか?魔力を送り込むってどうすれば?」
俺は当然の疑問を学園長に伝える。
「おっと、まずはそこからだったね。人間には一人一つ、適正魔術といって使用できる魔術が生まれつき決まっているんだ。例えば、僕は《錬金術》、理事長は《重力術》という風にね。でも普通の人間には魔術を使えない。しかし、このペンダントをはじめとする《魔装具》に魔力を送り込めば疑似的に魔術が使える。例えば......」
突然、学園長の手のひらに小さな紅の宝石が現れた。
「これは今適当に作った《魔装具》だがこれに魔力を送り込むと......」
紅の宝石は光と共に炎を放ち、砕け散った。
「このように適正魔術が発動する。聞かれる前に言っておくが、簡単に言うと超天才の僕は《魔装具》を使えば先程のように適正魔術以外の魔術も使用できる。それともう一つ、魔力の送り込み方だが、これに関しては完全に勘だ。個人がその感覚を掴むしかない。まあ、大抵の生徒は少ししたらすぐできるようになるから気楽にな」
その日はそれで解散となった。
俺は、少し剣の稽古をしていたがその時、謎の現象が俺を襲う。
「え?」
特に変化は見られなかった。だがしかし......
ペンダントが砕け散った。




