人間兵器
僕の名前は、壁山透(偽名)。スパイ活動によって手に入れた情報を売って金儲けしているスパイ組織《シャドウ》のメンバーだ。
今日は、実力は確かで組織から信頼されているものの、色々と謎に包まれた同僚のKとロストレガリア計画の情報収集に来ていた。
しかし、僕の前の仕事、岸田堕悪に殺し屋関係の情報を売る仕事に関係している戦いが起こっていたので二人で観察していたのだ。
「一瞬で51人殺すなんて、とんだ化け物だ。まさに人間兵器だね」
僕の感想はKに正される。
「いや、無能力者の50人は氷漬けにされているだけで生きている。怒りで攻撃的になってこそいるけれど、思考はかなりまともだ。それに彼女が殺したかったのは、殺した方じゃないみたいだ」
僕は、例の化け物、吹雪氷華に目を向ける。
「なぜ、あなたが生きているのかしら。兄の方を生かしておいたはずなのだけど」
「俺たちの異能、《同一人物》は俺たち兄弟が同一人物であれば差し支えない範囲で因果を書き換えられる。俺の死を充兄の死に書き換えた」
「そう。風間君を倒したあなたの兄をこの手で葬りたかったのだけど仕方ないわね。あなたが仲間に害をなさないうちに葬ってあげましょう」
そう言って彼女はレイピアを抜いた。
双葉剣もナイフを構えるが・・・
「なっ!?」
彼のナイフは吹雪氷華が射出した氷槍に弾き飛ばされた。
加えて、彼の足はすでに氷漬けにされていた。
そこに非情にも彼女のレイピアが襲いかかった。
「や、止め・・・」
彼は心臓を貫かれ、消え去った。
「うわー、怖い。流石、人間兵器」
僕は率直な感想を述べる。
「人間兵器っていうなら、あれも相当だよ」
Kが言った。が、僕には心当たりがない。
「誰のことだよ」
「段田剛」
「いや、そいつやられてるけど」
僕は納得いかないながらももうひとつの戦場に目をやった。
「くっそぉ」
段田は既にボロボロだ。
「いくら、身体能力が上がってもその分スタミナが持たなくなるなら勝ち目は充分にある」
「それに気づいたの俺だぞ。お前、そんなだからモテないんだよ」
「くそ。なんも言えねぇ」
雷鳴徹と緋ノ宮火憐が会話している。緊張感が全くない。
すると、段田剛が言った。
「なめやがって。こうなったら、理性すらも捨て、身体能力を極限まで高める奥の手《バーサクモード》」
すると、彼は筋肉ムキムキの大きな人型の怪物に変身した。
「うわっ。何あの筋肉達磨。キモッ」
糸川結衣が言った悪口ではなく音に反応し、理性を欠いた化け物は彼女に襲いかかる。
「危ない!《念動力》」
斉木力が彼女を庇った。能力で威力を弱めたが、かすったところが出血している。
「やばいな。出血が多い」
「任せて、リボンで止血するから」
しかし、化け物は痛手を負った彼らに容赦なく襲いかかるが・・・
その時、氷の大剣が化け物の胸部を貫いた。
化け物は言葉とは言い難い悲鳴をあげ、氷を砕いた。が、射出された無数の氷槍が即座に突き刺さる。
もう化け物は動かなくなった。
「私の仲間に手を出すとどうなるかよく考えてからやってくることね」
吹雪氷華は言い終わると気を失った。
すると、どこかから声がした。
「今日はついてる。いい実験材料が沢山ある」
《発明王》だ。そして、奴に続いて数人の女の子が現れる。
「なんだ、あいつらは」
僕の問いにKが答える。
「あれは、比喩じゃなく本物の人型兵器だよ」
私の数少ない読者の皆様、明けましておめでとうございます。大道寺司です。今後とも私の小説をよろしくお願いいたします。




