衝撃と痛み
収さん視点です。どうぞ。
「流石だな」
「皮肉ですか、収さん。俺の攻撃はまだ一度も当たっていませんよ」
「そうだな、岸田。お前の異能、《闇の支配者》は当たったところに痛みを与え続ける痣を作るという当たったら終わりの能力だ。だが、その分攻撃速度が遅い。私でも避けられます」
「そうですね。でも、収さんの異能、《吸収する左手》は、衝撃しか吸収出来ない。つまり、俺の異能は防げない」
確かにその通りだ。しかし、だからといって肉弾戦をしなければならないという訳ではない。
「防ぐだけが私の異能ではないことは知っているだろう」
そう言うと私は一瞬の隙をついて彼の鳩尾に左手をつける。
「《放出》」
「ぐはっ。げほっ。くっそぉぉ」
彼は、あまりの痛みに地に這いつくばっている。
私の異能は吸収した衝撃をストックし、放出できる。放出したのは《黒渦》の中でも最高クラスの威力を誇る技、《右ストレートLv5》だ。彼はもう立てない。私の勝ちだ。しかし・・・
「俺をなめるなよ」
彼は声をふりしぼる。
この国では、異能力者の殺害は能力を失って生き返るため、罪には問われない。学生警察のように異能力者を倒すものが正義で《シンプル》のように無能力者も殺すものが悪なのだ。
私は、まるで戦いを助長するかのような掟に従いとどめを刺そうとしたその時、私はとてつもない痛みに襲われた。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
必死に痛みをこらえ、左手を見ると手のひら全体に黒い痣があった。
「黒い服に俺の闇を同化させていたんですよ。とどめを刺すのは俺です。《侵蝕する闇》」
「なっ!?痣が広がって・・・ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
彼が気力を使い果たして倒れて間もなく、私は、もはや形容出来ない程の痛みで気を失った。




