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なぜなら僕は習慣的な自慰者だったから。それでいて僕はジャンに嘘をついていませんでした。僕が自慰する時、気持ち良くありませんでした。それは痛かった。僕はそれをしたくなかった。しかし、その要求は圧倒的でした。苦痛にも関わらず、それをしなければなりませんでした。さもなければ、僕は思考する事が出来ませんでした。思考出来ない事は、僕には死を意味しました。
八センテンス前に云った事を修正させてください:僕は完全には嘘をついていませんでした。言い換えれば、部分的には嘘をついていたのです。ジャンは外に聞いた事がありました;それに対して僕は嘘を云った;“お前は自慰しないのか、レーモン?”
しかし、僕の嘘は嘘では無かった。僕の自慰が彼らのそれとは違うと云う意味に於いて。僕の生物の教科書にオルガズムと自慰に関するこう云う記述がありました;僕は一字一句覚えています。まずはオルガズム。それを定義してこう云ってありました;“男性の場合、その直後に精液の放出を伴う快い感覚。”次に自慰;“思春期に達した男の子は、自慰と呼称される活動に従事する事が、一般的に知られている。オルガズムを得る目的で人が自身の性器を操作するこの行為は、成人期に入りつつある男の子(と女の子)にとって正常であり、節度を以て行われれば健康に有害では無い。”これを見れば、僕の行為は正常で無かった。或いはもしかしてそれは自慰では無かった。僕はそうで無いと決めました。