表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狂 気 前 夜   作者: Raymond Kobayashi 訳:天野なほみ
8/55

 7


   なぜなら僕は習慣的な自慰者だったから。それでいて僕はジャンに嘘をついていませんでした。僕が自慰する時、気持ち良くありませんでした。それは痛かった。僕はそれをしたくなかった。しかし、その要求は圧倒的でした。苦痛にも関わらず、それをしなければなりませんでした。さもなければ、僕は思考する事が出来ませんでした。思考出来ない事は、僕には死を意味しました。

   八センテンス前に云った事を修正させてください:僕は完全には嘘をついていませんでした。言い換えれば、部分的には嘘をついていたのです。ジャンは外に聞いた事がありました;それに対して僕は嘘を云った;“お前は自慰しないのか、レーモン?”

   しかし、僕の嘘は嘘では無かった。僕の自慰が彼らのそれとは違うと云う意味に於いて。僕の生物の教科書にオルガズムと自慰に関するこう云う記述がありました;僕は一字一句覚えています。まずはオルガズム。それを定義してこう云ってありました;“男性の場合、その直後に精液の放出を伴う快い感覚。”次に自慰;“思春期に達した男の子は、自慰と呼称される活動に従事する事が、一般的に知られている。オルガズムを得る目的で人が自身の性器を操作するこの行為は、成人期に入りつつある男の子(と女の子)にとって正常であり、節度を以て行われれば健康に有害では無い。”これを見れば、僕の行為は正常で無かった。或いはもしかしてそれは自慰では無かった。僕はそうで無いと決めました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ