6
僕は十四才でした、そして第九学年にいました。もはや色ペンとレコード・プレーヤーと飛行機は僕の興味の対象である事を止め、複雑な分析の本が、それらに取って代わっていました。他の九年生達の多くは、僕と大変違った興味を持っていました。彼らの頭脳は異性の複雑さを分析するのに忙し過ぎて、数字などを分析していられませんでした。ジャンは分析家の中で最も物言いがはっきりしていました。
それは五月の、軽井沢への修学旅行での事でした。ジャンは、素晴らしい雑誌を何冊か手に入れたから、それらを楽しみたい者は彼の部屋へ来いと誘いに来ました。僕のルームメートも分析家だったのです。“レーモン、何でお前は来ないんだ?お前も気持ち良くなりたくないのか?”とジャンは云いました。“放っておいてくれ、”と僕は云いました、“僕はなりたくない。” “偽善者め。一人で自分の寝室にいる時、気持ち良くなっていないなんて云うなよ、”とジャン。“お前の好きなように思え。僕はならないんだ、”と僕。僕は嘘を云っていませんでした。勿論、彼らがどのようにして気持ち良くなっているのかは、百も承知でした。