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僕の魂はまた乱されていました。僕は非常に困惑していました。しかし、僕は困惑している事が恥ずかしかった。どう云う訳か、困惑している事を彼女に知られたく無かった。僕は芝居を打たなければなりません。巧くやり通す積もりでした。そうしたと思いました。その午後、僕は水着の事を口にしませんでした。その晩、僕は自ら汚しました。彼女を汚しました。彼女が水着で立っている姿を頭から消す事が出来ませんでした。僕が一番大事にしている物が、何か損なわれたような気持ちでした。数学が不完全だと知った時以上に落ち込みました。僕は数学にがっかりして自瀆した事はありませんでした。しかし、僕はその晩以来、自瀆行為がやめられなくなりました。さんざん偉そうな事を云っておきながら、結局、僕は常習的な自瀆者として死ぬのです。




