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神よ証言し給え、僕は彼女を汚しはしませんでした。僕の頭の中の思いのせいで彼女に微塵の汚れも及びはしませんでした。獣の言うままにした時でさえ、彼女をしてあらぬ姿態を取らせる事は絶えてありませんでした。その時は彼女の存在を忘れました。これだけは胸を張って言えるのです。
貴方は僕の言葉を以て不信とするかも知れません。恋に狂った男が、狂わせる恋をした男が、夜な夜な自らは汚れながら、しかも彼が恋する客体を汚さない事が、どうして可能か。僕の答えは単純です;彼が恋うる所の者である思慕の客体と、本能が彼をして欲せしむる所の者である性欲の客体と、上二者が一致しない場合に於いて。




