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狂 気 前 夜   作者: Raymond Kobayashi 訳:天野なほみ
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   ある日の倫理の時間で、自慰が熱を帯びた討論の主題になりました。“自慰は是か非か?慎む事は美徳か?”先生が仕切る中、多くの者の目は血走っていました。ジャンを始め過半の者が是も非も無いと主張しました。食事や睡眠や排泄に道徳が関わるか、同じく生理的要求に従って行う自慰に道徳が関わるか。非難する者はそれが快楽を求める行為だと云う点を根拠に非難しがちだけれども、それならバッハを聴く事も非難すべきだ。中には非とする者もいました。食事とは明らかに違うでは無いか、“性的飢餓”で死んだ者がいるか。確かにバッハの音楽は快楽を[もたら]齎すけれども、同時に魂を高める作用がある。この発言をした生徒は勇敢でした、と云うのは、当然次の反論が期待されたから。“では君が自慰する時は魂を高める目的でする、言い換えれば、魂を高める効果が期待出来ない場合は慎む、そう云う事か?”いや、そう云う事では無い、が彼の返答でした。自慰した時、彼は魂が打ちのめされた気分になり、罪悪感を覚える、であればこそ自慰が悪だと主張した、と。彼はクリスチャンでした。

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