side:ユリエル
初めて見たときに、天使がいると思った。
銀色の肩まであるサラサラの髪は、ライトにあたって輝いており、とても美しい。
瞳は薄いブルーで、思わず見入ってしまった。
「きれいだ…」
「え…?」
気づかぬうちに腕をつかんでいた。それほどまでに美しかったのである。
父に言われて手を離すと、エインズワース公爵の後ろに隠れてしまった。ああ、もっと見ていたかった。
父に言われて二人と中庭を見ながら休んでいた。今腕の中にいるルシアンは、最初こそ緊張していたようだが今は俺に抱っこされながら嬉しそうにバラの名前を訪ねてくる。
俺にもエディソンという弟がいるが、ここまで素直に甘えてくれないので嬉しい。
ルシアンとは仲良くなれたものの、ウィリアムとはまだ微妙な距離が開いたままだ。
ウィリアムとも仲良くしたいな…。
「ユリエルおにいさま?」
「ああ、すまない。なんだ?」
「あのきらきらしてるばらはなあに?」
「あれはシルバーローズだ。ゴールドローズと同時に発見されたバラで、月明かりを浴びると銀色に輝くんだ」
「ふわあ~きれいです…おにいさまみたい…」
「そうだな、ゴールドローズがルシアンで、シルバーローズはウィリアムみたいだな」
まるでエインズワース兄弟のようなバラだと言うと、ルシアンはさらに上機嫌になった。
「ぼくのことはるーってよんで?ゆりえるおにいさま」
「じゃあ俺のことはユーリと呼んでくれ、ルー」
「ゆーり!」
ルーと仲良くなったので次はウィリアムと仲良くしたいと思っていたのに、テオドールに邪魔されて叶わなかった。
でもいい、これからゆっくり仲良くなろう。