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美少年で人生やりなおそ  作者: うもうぶとん
幼少期編
44/73

みんなの秘密



屋敷の中での生活も落ち着いてきた頃、ふと思った疑問をぶつけてみた。




 「ここに来たときに、みんなここに住んでないみたいなことを言われた気がするんだけど、今はみんなとほとんど毎日会ってるよね?」

 「前はみんな別々のところで生活していましたよ。私は薬草の研究の関係で山の方に家があります」


今は庭でミーナに薬草の見分け方を教わってたが、少し日差しが強いので休憩中だ。


 「前はってことは、みんな今はここに住んでるってこと?居たり居なかったりするから今まであんまり気にしたこと無かったけど」

 「そうね、私は研究のために出かけたりしますよ。それで何日か居ないこともありますが、基本的には今はここに住んでいます。ウィルが来てくれて嬉しいですし、貴方が来てからここの空気も良くなって、住みやすいんです」

 「そうなんだ…アマリアやルドルフも?」

 「アマリアは…昔いろいろあって、彼は少し燃費が悪いんです。一日中食べていないと、体にエネルギーが回っていかないくて、それでも動くと体力を消費してしまって、今は移動もルドルフに任せています。ここに来たときは自分で動くこともできず、食べ物も食べさせてもらっていたので、年々回復してはいるんですが…今はこの屋敷の部屋で過ごしていますよ。今までお世話をしてくれていた方がぎっくり腰になってしまって、お世話をする人が居なくなってしまったので今回はこちらに来たんです」

 「い、今…彼って言った…?」

 「はい、アマリアは男性ですよ?」


……ん?え?


 「でも、自己紹介の時「私」って言ってたし…ドレスだって…」

 「ドレスは私の趣味です。ここの精霊使いの集まりには華が無いので、許可を得ていつも可愛い格好をしてもらっています」

 「は、はあ…」

 「一人称についてですが、今までは確かに僕と言っていました。ルドルフが女性と勘違いしているのでその誤解をそのままにしておきたいのでしょう」

 「どうして?」

 「ルドルフには、アマリアくらいの年の妹が居たんです。戦争で亡くなってしまいその妹にアマリアを重ねているのでしょう。彼の気の済むまで、それまでは女性として振る舞うようです」

 「そっか…なんか、みんな大変だったんだね…」

 「ノエルがこの特別研究室を作るまでは、精霊使いは幽閉こそされませんが、いろんな国で利用されていました。戦争で働かされる者、国から隠れる者、国からに逃げる者、みんな必死に自由を求めていました。ノエルが居なければ、私もここにはいません」

 「ノエルが作ったんだ…」

 「ええ、彼は精霊使いの救世主ですよ」


ふふ、とミーナは綺麗に笑った。


 「今は全員ここに住んでいますが、貴方が来るまでは考えられませんでした。この屋敷には元々ティアとルドルフしか住んでいませんでしたから」

 「ノエルとかは住んでなかったんだ」

 「ノエルは軍の寮に入ってましたから。よくここにティアやルドルフの様子を見に来ていたようですが、軍の仕事も忙しくて、毎日という訳にはいきませんから」

 「そっか…だからティアはあんなに僕が来た時喜んでたのかな」

 「もともと人と遊ぶのが大好きな性格ですから、退屈だったんでしょうね。今は毎日楽しそうで、見ているこっちも明るくなります」

 「ふふっ、ほんとにティアは元気だよね」


二人で笑っていると、遠くから声が聞こえてきた。


 「なになに〜!僕の話〜〜!?」


ティアが笑顔でこちらに走ってくる。


 「あの子は本当に元気ね」


またミーナが笑う。

ティアが近付くにつれて、なんだか違和感を覚えた。なんだかいつもより小さいような…。


 「なになに?何の話?」


目の前まで来たティアはやはりいつもより小さかった。俺より少し大きいくらいなのに、今日は頭半分くらい小さいのだ。


 「ティア…なんだかいつもより小さい……?」

 「あっ、忘れてた!精霊さんと隠れんぼしてて、隠れるために小さくなってたの」


そう言うとティアの姿がぼやける。次の瞬間にはいつもの大きさに戻っていた。


 「今のって変身魔法?」

 「んーん、違うよ?変身魔法はイメージ力とか再現力が問われる繊細な魔法だから、僕には絶対無理!」


ティアは肩をすくめて首を振る。じゃあなんだ?


 「僕はね、ウィルと同じで魔力が大きすぎて器に合ってなかったの。封印の解けやすい成長期にいろんな実験に使われたせいか、魔力の封印が中途半端になってしまって姿が安定しないんだ。いつもの姿は魔力の消費が少ないし、精霊達に評判がいいから日常生活はずっとこの姿なの」

 「実験…」

 「うん、研究が進んでない時代だったから、精霊使いに人権なんか無かった。でも、今はその分自由だし、ウィルやノエルやミーナ、いろんな仲間に囲まれて最高に幸せ!だからそんな顔しないで?ね?」

 「…うん」


いつも明るいティアからは想像もできない話だった。両親の愛情を受けて、弟と一緒に暮らせて、友達にも恵まれた俺は本当に恵まれていたんだ。



いつか、この特別研究室を作ったときの話を聞いてみたい。ノエルがなぜこの機関を作ったのか、垣間見えた気がした。





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