side:アーサー
今日はいろんなことがあったせいか、ウィルは私に抱きついたまますやすやと眠ってしまった。
ウィルを抱き上げ、ベッドへ運ぶ。寝巻きへ着替えさせて静かに寝かせると、布団をかけた。
ベッドサイドに腰掛け、ウィルの頭を撫でる。
「失礼しますアーサー様。リヴィエ大尉との打ち合わせの日程ですが…」
「ランスロット、しー」
「失礼しました。ウィリアム様は寝てしまわれたのですね…今日はいろんなことが起こりましたから…」
ランスロットもベッドの近くまで来て、ウィルの寝顔を眺める。明日からまた自由に会えない日が続くと思うと胸が張り裂けそうになる。
「こどもというのは知らないうちに成長していくね。ずっと見てきたと思っていたけど、やっぱり驚かされるよ、ウィルとルーの成長には」
「ウィリアム様は本当に頼もしくなられました。ルシアン様もウィリアム様と離れて暮らすようになってから何事もひとりで為されようとする意思が感じられて、私も感動しております」
「ルーも強くなってる。私はその二人を全力で守るだけだ」
「はい。使用人一同アーサー様と同じ気持ちでございます」
ウィルの部屋を出て、出口に向かう。
「明日からまた忙しくなりそうだ」
「アルバートが関係各所を押さえていますが、そろそろ限界でしょう」
「根本的な解決が必要ってことだな…リヴィエ大尉のおかげでこっちは何とかなりそうだ。ウィルが頑張るって決めたんだ。私も負けてられないね」
「こちらのことはお任せください。いってらっしゃいませ、アーサー様」
「ああ、頼んだよランスロット」
施設を出て馬車に乗る。
揺られながら、雲に少し隠れてしまった満月を見つめた。
「僕達のこどもは私が必ず守るよ、トリシア…だからどうか…見守っていて」