父の愛
「そうと決まれば、ウィリアムの指南役もノエルに頼んでいいな」
「はい、リヴィエ大尉よろしくお願いします」
「ノエルでいい。指南といっても、俺は師匠としてではなく同じ精霊使いの仲間として、君の成長に手を貸したいと思っている。近いうちにほかの仲間と会う手筈を整えてまたここに訪ねよう。そこで訓練についても話す」
「よろしく頼むよ、大尉」
「勿論です大佐。ウィリアムはもう俺たちの仲間ですから」
そういうとノエルとライアット、ついでにハイナーも帰ってしまった。長居すると怪しまれる可能性があるからだ。
今日は疲れただろうと、ローランドも帰った。
見送りにランスロットも行ってしまったので、今この部屋には俺と父様しかいない。みんなの見送りを終わらせて、父様と俺はそれぞれソファーに座り直した。
「ウィル、本当に無理はしていない?」
父様はソファーの隣に座る俺の頭を撫でて、少し心配そうに訪ねてくる。
こうやって外では誰にも見せないような優しい顔で、本気で心配してくれる父様の気持ちが嬉しい。
「……僕は早く父様やルーと一緒に住みたいです。ユリエルとマリウスとも早く会いたいし、ランスロットとアルバート、ワイアットさんにも……僕が強くなることで、それが早く叶うなら自分のできることを精一杯やりたいんです。だから、無理じゃないんです。俺がやりたいんです」
「……そうか…なんだかウィルが大人になっちゃったみたいでちょっと寂しいな…でも忘れないで、ウィルはいつまでも私の愛しい息子だよ。いつでも私に甘えていいんだ」
「…はい、父様…」
俺は泣きそうになって、自ら父様の首に腕をまわして抱きついた。
父様は少し驚いたように息をのんだあと、力強く抱きしめ返してくれた。
絶対に強くなる。みんなを守れるくらい、自分を守れるくらい強くなる。