新たな試練 2
「じゃあここからは俺が。このガラスは光玉っつって、光因子の魔力に反応して光るものだ。
ただし!ただ送り込むだけだと、発熱しすぎて持てなくなるほど熱くなるから、それは注意しろよ。熱くならないように魔力濃度を調整しながら、魔力量を一定に細く長く送り続けるんだ。そうすることで、繊細な魔力コントロールを必要とされる光魔法を自由に操れるようになる。
最初は思い通りに行かなくて焦るかもれないが、これが遠いようで一番の近道だ。コントロールと平行して光魔法の基礎概念も予習しておけよ」
魔力濃度は本で読んだことがある。光因子のエネルギーはほかの因子に比べて、魔力に変換したときのエネルギー量が多くなる。これは光魔法が大地や火、水や風などの物質に働きかけるエネルギーとは全く違う性質にあるためだと考えられている。
そしてエネルギー量が多くなるということは、それだけエネルギーコントロールが難しいということだ。
それ故に光魔法は総じて難易度が高く、習得するのにそれなりの練度が必要とされる。
魔法学院でも光因子の生徒は専用のクラスが用意されており、ほかの生徒とは違うカリキュラムが組まれている。
それくらいほかの魔法とは違う性質の因子なのである。
俺がもともと持っている魔力量は無意識に封印しただけあってとても大きい。大きい魔力を繊細なコントロールで
操ることは難しいだろう。
「扱いは難しいが、慣れれば悪魔に対抗する大きな武器になる。そうすればすぐに家族一緒に暮らせるようになるさ。だからそんな心配そうな顔すんな」
そんなに不安な顔をしていただろうか。頭をガシガシ撫でられた。
普段は荒っぽい言動が多いが、こういうときに兄のように接してくれるローランドはとても頼りになる。