変わっていく環境
結論から言うと、俺は統括機関の管理対象にはならなかった。
病室で目覚めたときから、視界に今まで見たことの無い生き物が映っていたのである。
俺が寝ているベッドの回りを取り囲むように、小さい人型の何かが飛び回っているし手のひらサイズのもふもふとした生き物も飛び跳ねたり、枕の上で俺の顔を覗き込んでいるやつもいる。
専門書を呼んでいた俺はすぐに分かった。
これは精霊だ…と。
父様にそのことを言ってからの彼の行動は早かった。
統括機関に俺が精霊使いであるという検査結果を提出し、精霊使いに対する不干渉の法を突きつけたのである。
それからはあっという間だった。統括機関の施設から移動し、エインズワース領の信頼のおける検査機関に移った。
検査結果により、因子の変化にも説明がついた。
どうも、俺は今まで光因子を封印していたらしい。これはたまにある現象で、器となる体に対して持て余すほどの魔力量を生まれながらに保持している者に見られる現象だ。封印が解けないまま一生を終える者も多いし、無意識な封印なので解くのも難しいらしい。俺はその封印をしているタイプだったのだ。
そして、大地の因子を感知されたことに関しては、精霊が関係していた。
光因子を封印をしていても、精霊は敏感に察知していたようで、ずっと俺に力を貸してくれていたのだ。
測定したときにたまたま大地の精霊が俺に憑いて、それが大地の因子だと誤解されたようだった。
魔力コントロールがうまくいかなかったのも、光因子を封印していたために精霊と直接対話できず、精霊が俺のわずかな心の機微を読み取ってなんとか発動している状態だったからなのだ。
ていうか、それで言うと俺、魔力コントロールなんてしたこと無いってことなんじゃ…。
考えるのはやめよう。