目覚め 2
「そうか…話すのはもう少し先にしておこうと思っていたんだが、早いうちに話しておこう」
父様がそういうと、父様以外のみんなが病室から出て行く。え、なに、そんな重大なことなの。
「いいかい?落ち着いて聞くんだよ。」
「…はい」
「ウィルの中にある魔力因子が、光因子だけになった」
「え?」
だって俺には大地の因子しか無いはず。
「そして大地の因子が消えてしまった。今は光因子しかウィルの中に存在しない。
このことで統括機関が動き出した。しかし、今までに因子が丸ごと変わる例がなかったから、扱いあぐねている。
最初はこちらで検査するといったんだが、あれだけ大きく騒いだせいでそうも言ってられないんだ。
全力を尽くすけど、もしかしたら…もう…一緒に暮らせないかもしれない…そのことは覚悟しておいてくれ」
「父様…」
父様はきつく俺を抱きしめて、すまない、とささやいた。
「お前のことは私が守るよ…じゃないとトリシアに怒られてしまうからね…」
ふふっと笑いながらも、抱きしめる腕の強さは変わらなかった。
「父様」
「なんだい?」
「こんなときになんなんだけど、一つ言ってもいい?」
「言ってごらん」
「俺、精霊が見えるようになったみたい」