side:アーサー
ウィルが悪魔に襲撃されたと聞いて、心臓が止まりそうになった。
最近スポットが多くなっているという報告を受けていたが、まさか結界の張ってある街に悪魔が出るなんて。
アルバートが血相を変えて俺のところに来た時には、ユリエルもそこに向かって屋敷を飛び出した後だった。
ルーはワイアットの屋敷で保護されていることもアルバートが移動しながら報告してくれる。
よかった、ルーが無事だと聞いただけでも少し気持ちが落ち着く。
でもまだ不安が拭えない。なんで今日に限って…!
スポットが多くなっているとはいえ、街にまで被害は無いと思い込んでいた。甘かった。
とにかく早く現場に向かわなければ。ウィル!
現場に着くと、倒れているウィルと医療魔法を展開しているマリウス、ウィルの手を握りながら呼びかけているユリエルがいた。
「ユリエル!マリウス!」
呼ぶと二人ともこちらを向いた。その瞬間二人の顔が緩み、同時に倒れた。
「おい!ユリエル!ユリエル!」
「マリウス!しっかりしろマリウス!くそっ!」
合流したワイアットがユリエルを抱き上げ、一緒に来たアルバートはマリウスを抱き上げた。
私はウィルを抱き上げると、変化に気づいた。
ウィルの魔力因子が…変化している……?
大地の因子が感じられず、光の因子に満ちている。
そんな…ばかな…
どうして…どうしてウィルなんだ……
私は強くウィルを抱きしめた