ありえないもの 2
「お前…悪魔か…」
「うん~?人間はそう呼ぶねえ~。何でもいいけど、俺と一緒に来てもらうよ~」
逃げなきゃ!とっさに魔法を使い、街路樹の木を使って悪魔を拘束する。
回りの人達が逃げ惑う中、ルーが馬車から降りてきた。
「おにいさま!」
「ルシアン!こっちに来るんじゃない!お前は先に逃げろ!逃げてユリエルの所の行くんだ!」
「お、おにいさまあ…」
泣いているルーを叱咤し、馬車に乗るよう促す。ルーは泣きながら馬車に乗り走っていった。
これでルーは安心だ。後はマリウスをつれて近くの魔法機関に飛び込めば…
そう思い、マリウスの手をつかみ走り出そうとした。
「あ~もう~服が破けちゃったじゃん~でも可愛いから許しちゃう~」
うふふ~といいながら木をビスケットのようにへし折って、拘束を剥がしていく。
そんな…あんな簡単に…。やばい…人型の悪魔は力が強いと聞くし、さらにこの悪魔はほとんど完璧な人型をとっていた。相当力が強いのかもしれない。
いくら訓練しているとはいえ、こんな上級の悪魔を相手にできるほどの実力はない。
どうにか隙を作って逃げなければ。幸いもうこのあたりに人はいないし、魔法を使っても大丈夫だろう。
マリウスは俺の前に立ち戦闘体勢をとっている。
「あんまり傷つけたく無いからさ~抵抗しないで欲しいんだよね~」
頭をかりかりと掻きながらめんどくさそうに男は言う。
「とりあえず~お前邪魔~」
男が腕を上げると、マリウスの体が宙に浮いた。マリウスがとっさに氷の槍で攻撃するが、すべてあたる前に粉々に砕け散った。
「せ~の!」
かけ声と同時に腕を振ってマリウスの体が建物に叩き付けられる。
なんとかツタのクッションを作りダメージを和らげられたが、マリウスは気を失ってしまったようだ。