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始まりの物語2

「それ」は、誰も気がつかないうちに蔓延した。

「それ」は、密かに活動したわけではない。

「それは」は、なにかの意図があったわけではない。

いや、意図はあったのだろう。

「より良くしたい」「より快適に過ごしたい」

「より便利」「なによりも素晴らしく」

おおよそ、ネガティブな意図ではなかっただろう。

だが、人々が「それ」に気がついたとき。

その意図、願いは無視された。

なぜなら、無作為の「善意」とは

時として、「悪意」よりもタチがが悪いことがあるから。


「それ」世界中の電波に乗って、

それこそ、一瞬のうちに駆け巡った。


最初に気がついたのは、誰だったのだろう、

もはや有象無象に紛れ、探し出す事も出来ないだろう。

少なくとも容易な事ではない。


突然だが、「超能力」と聞いて何を思い浮かべるだろう?

手を触れず物を動かす、他人の心をのぞき見る。

そんなところだろう。

技術力の向上は、魔法にも似た効果が見られると言ったが、

流石に、これは無理だった…「それ」までは。


その事に気がついた最初の一人は、もはや不明だと先に話たが、

あらゆる人類に発現した「それ」は、

次々と、その報告がなされ実証検分がなされた。

なにせこのご時世、専門家でなくても

便利な機能があれば使いたくなるのが人情。


しかし、便利なことには反作用もある。

車のように早く走れても、人の体は金属ではない。

風圧で前も見えなくなり、壁に激突。

心が見えるようになったら、

その中身に人間不信になってしまった。

意図せず、火をつけてしまい大火事を起こした。

わずか一週間で、人類はその新たな力に翻弄され、

未曾有の大パニックに陥った。


その間、人知れず、「それ」を検証し、

論文にまでまとめあげた一人の天才がいた。

だが、この混乱の中、世の中では見向きもされなかった。

そして、半月の歳月のなか、

各国政府は「とりあえず」協議の結果。

力の利用を制限する方針に合意した。

国家間の争いに、新たな火種になる事を恐れたのだ、

特に先進国は、自らの優位性が失われる可能性を恐れた。


そんなおり、一人の日本人が、

ある論文を発表した。

簡潔に言えば、「それ」は電波を使い、

人の脳に直接「インストール」された。

脳に追加機能をつける、アプリケーションだとするものだ。

そして、これは先の天才の出した論文と同様の内容である事。

そして、別のものが再検証をしたところ見事に証明された。


さて、ここで問題になるのは

先の天才と、今回の日本人だ。

「それ」がもたらしたものを、正確に把握し、

細分化、系統化し理論体系化したのだ。

つまり、最先端の「技術」である。

「技術」は平和利用をされているうちは良いが、

やはり、人類。

期待に過たず、権力争いや暴力に利用され始める。

そうなると、研究者としては、

この2人は、最先端である。

各国は、この危険度を理解しその情報を完全に封鎖した。

紛争地帯や、国家間での争いの絶えない国同士も、

この件に関しては、一致団結をするに至った。

矛先が向かうのを恐れたのだ。

そして、統一した管理組織をほかに類を見ないスピードで設立したのだ。


発足の理由は、至って簡単。

相互監視である、あまりにも突飛な技術である故に、

抜け駆けを恐れ、また、自国内だけが遅れるのを恐れたのだ。

通常、この手の話は発展途上国の意見は封殺されるが、

この件は、完全に世界の全ての国が参加し、

先進国もそれを容認した。

人の数だけ、その力の研究が進むからだ。


組織が、まず取りかかったのは、

「暴走の制御」である。

力による事故が多発しすぎたのである。


ここで再び、天才達の登場である。

これは、脳にインストールをされたプログラムであるとするなら、

なんらかの方法で「受信」をしたはずと考えた。

で、あるのなら「送信」する方法もあるはず。

通常、電波は干渉する。

では、この力は干渉しないのか?

というアプローチである。

結果は、干渉する事が判明。

各個人が微弱に送信している、ビーコンのような力は、

相互に干渉しあい、打ち消しあっている事に着目し、

あえて、周囲に力を垂れ流すようにする方法を模索したのだ。

結果、特定の宝石を身につける事で、

その効果が発生する事、その効果は特定の金属で覆う事で

増幅や減衰させる事が可能である事、

また、増幅させた力の波形をあわせる事で、

更に出力を上げられる事が判明した。


当然だが、こんな情報は軍事利用をされるのは明白である事から、

宝石と金属の組み合わせ、波形をあわせる方法は、

組織によって、完全に情報統制がしかれ、

政府であろうと、手出しが不能なようにされた。

当然、文句を言う国も現れたが、

最新情報を盾に漏らさないように徹底された。

というよりも、彼の天才達にしか理解が出来なかったのである。


かくして、当初の混乱を他所に、

便利機能が、人類に備わる事になった。


・・・・

行き過ぎた技術は、時に魔法に見える。

そして人類は、本当に魔法を手に入れたのだ。


その行く末は不透明なままに・・・











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