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バレた……かもでごわんす


「ふにゃにゃ……(全然私が送ったと思われてないんですけど……)」


 桃菜は和也から返信されたメールを見て唸った。


「にゃんにゃにゃ(もっかい送ってもどーせ同じだろうなぁ)」


 桃菜は諦めることにした。

 諦めが早過ぎる桃菜は、別の作戦を考え出した。



 一方学校では――。


「これ、桃菜捜索のカギになりそうだよね! 桐花に伝えよう!」


 と香澄がメールで、制服の事を桐花に伝えていた。

 しかしその横では、男子共が桃菜の服に群がっていた。


「伊吹の制服……おぉ、下着が結構可愛いな」

「伊吹の下着……身に着けたい」

「脱ぎたてホヤホヤじゃないのが残念だ」

「ちょっと離れなさいバカ男子共ぉ!!」


 透かさず香澄が一蹴。


「べ、別にいいじゃんか」


 蹴られた男子は、桃菜の下着を身に着けながら口を尖らせた。


「あぁ……桃菜が可哀想に思えて仕方ない……」


 香澄は、男子の理解不能な行為に嘆くばかりだった。



「え……『廊下に桃菜の制服が脱ぎ捨ててあった』って、えぇ?」


 桐花は突然の香澄からのメールの内容に、動揺していた。


「何よそれ……ちょっと電話してみようかな」


 桐花は真相を探るべく、香澄にケータイで電話をかけた。

 数回のコールの後、香澄の「桐花どした?」という声が、ケータイから聞こえてきた。


「どしたじゃないよ! どういうこと? 制服が脱ぎ捨ててあったって、本当?」


 桐花が早口でまくし立てると、直ぐに電話の向こうから香澄の声が聞こえてきた。


『本当だよ! とにかく、何かの手掛かりになりかもだから、カズにも言っといて!』

「うーん……分かった。一応言ってみるね」


 桐花は少々納得がいかなかったが、取り敢えず和也に伝えることにした。

 香澄との電話を切り、和也に電話をかける。

 今度は一コール程で和也が電話に出た。


「どうした!? いたのか?」


 と切迫した様子で桐花に問い掛けた。桐花はその問いには答えずにこう言った。


「さっき香澄からメールがあって……学校の廊下に、桃菜の制服が脱ぎ捨ててあったんだって!」


 しばらくの沈黙。


『はあぁ?』


 そして和也の、ちょっとだらしない声。

 桐花は、電話の向こうでも、和也はだらしない顔してんだろうな。と思いながら言った。


「それで……何かの手掛かりになりそうだから」

『ほうほう。それは興味深いな。しかし疑わしい話でもあるな。てことで、学校行って確認してみるわ』

「おいコラ」


 和也の言葉に、桐花は目の前に和也がいたら絶対ど突いていただろう、怒りのこもった一言で和也を黙らせた。


「……何か心当たりないわけ?」

『ええぇ……んなこと言われても……あ』

「『あ』? 『あ』って何よ。何か分かったの?」


 桐花は、此方も切迫した様子で和也に問うた。


『いや……あんな、俺、前に学校で見たんだよな。その……脱ぎ捨ててあった制服を』

「えっ、い、いつ!?」


 桐花は更に質問を重ねる。


『伊吹が行方不明になった日だよ』

「あ……た、確かにカズ言ってたね。何でもっと早く気づかなかったのよ私!」


 自分を責める桐花とは違い、和也は「あれって伊吹の制服だったのか……ヤベェ下着見ちったよ」などとぼやき、一人赤面していた。二人の温度差や如何に。


「とにかく、一回電話切るね!」


 桐花は返事を待たずに電話を切った。


「切られた……」


 和也はさっさと電話を切られた事に唖然としていたが、すぐに思考を切り替えた。


「これからどうするかな……。伊吹の制服が見つかっても、伊吹は見つかってねぇし……。あ、そういやあの時……」


 和也は、制服を見つけた時の事を思い出して、思考がはじけた。


「猫がいた……それと同時に伊吹は消えて……制服も脱ぎ捨ててあった……」


 和也は有り得ないと思いながらも、思考の終着点を口にした。


「伊吹は……猫になった?」





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