85話 精神世界での戦い
何もなく、無の空間である精神世界でゴルガはデュージルとジウルを消滅させようとしていた。
「お前らは黙って消えていろ。俺の邪魔をするな」
ゴルガは金刀を構えつつそう言い放つと、ジウルとデュージルもそれぞれ金刀を構えた。
デュージルはふと呟く。
「全く、同じ自分だとは思えんな。ここまで考え方が違うとは」
「元々お前たちを作り出してしまったのは俺だ。俺が精神を保てないばかりに白龍連合のゴルガと黒虎連合のデュージルは隔離させてしまった。すまない」
ジウルはそうデュージルに謝ると、ゴルガが二人に向かって走り出した。
「そういうのはゴルガを止めてからだ!」
デュージルはゴルガに向かって斬撃波を放ったが、ゴルガも同じ斬撃波を放ち相殺させ、デュージルへと接近した。
デュージルは接近してきたゴルガにカウンターを仕掛けようとしたが、ゴルガは瞬時にデュージルの背後に移動し、デュージルの背中を斬り付けようとした。
しかし、デュージルの背中を斬り付けようとするゴルガの背後にジウルが斬り付けようとしていたことにゴルガは気づき、ゴルガはジウルの攻撃をギリギリ回避した。
ジウルとデュージルから離れたゴルガに向かってデュージルは再び斬撃波を放つと、またゴルガは同じ斬撃波を放ってそれを相殺した。
「さすが、俺の分身とでも言おうか。だが……」
ゴルガがそう言いかけたとき、デュージルの左腕が切り裂かれてしまった。
「まだ甘い」
「うぐっ‼︎」
左腕が千切れ、落としてしまったデュージルは気づいた。
ゴルガがデュージルのカウンターを避け、背後に移動したときには既に左腕を斬られていたのだ。
「俺の背後に移動した時か」
「よく気づいたな。斬れ味というのは斬り込みを変えるだけで大きく変化する。斬られたことに気づかないほど斬れ味を上げることも可能だ」
ゴルガはそう言うと、左腕を失ったデュージルに向かって走り出した。するとジウルがデュージルをかばうようにゴルガへと迎え撃った。
「お前は下がれデュージル!俺が隙を作る!」
ゴルガとジウルは火花を散らしながら刀を交えた。そしてジウルはゴルガの右肩を斬り付けようとしたが、ゴルガはその攻撃をしゃがんで避け、ジウルの両足を斬り裂いた。
「ぐあぁっ‼︎」
ジウルはゴルガに蹴り飛ばされ、ゴルガはデュージルへと走り出した。
左腕を失ったデュージルは右手に刀を持ってゴルガを迎え撃った。しかし、隙を付かれジウルのように蹴り飛ばされてしまった。
蹴り飛ばされたデュージルはジウルのそばに駆け寄った。ジウルはもう両足を斬られていて歩くこともままならなかった。
「ジウル、作戦を思いついた。だが、成功する確率は極めて低い」
「……聞かせろ。その作戦とやらを」
「あぁ、それはなーー」
デュージルとジウルは何やらひそひそと話していると、ゴルガが刀を肩の上に置き、ゆっくりと二人に近づいて来ていた。
「ーー正気かデュージル!それではお前が」
「これしかない!どうせ死にはしないさ」
デュージルはゴルガへと走り出した。すると刀を口で咥えて、右手でゴルガへと手を伸ばした。
デュージルは捨て身でゴルガの胸倉を掴み取ろうとしているのだ。
ゴルガはデュージルの身体の至る部分に切り傷を与えたが、デュージルはビクともしなかった。
デュージルは胸倉を掴み取った。
「無駄な足掻きだ!」
しかし、ゴルガはデュージルの胸倉を掴んでいる右腕を斬り裂いてしまった。
デュージルの右手はゴルガの胸倉を掴んだまま、デュージルの身体から離れていった。
「うおおおおおお‼︎」
するとデュージルは口で咥えている刀の刃を切断された右腕に突き刺した。
右手はそのままゴルガの胸倉を掴んでおり、デュージルは口に咥えた刀でゴルガを自らの右腕ごと投げ飛ばした。
そしてゴルガが投げ飛ばされた先には両足を失ったジウルがいた。
「いくぞ!ゴルガ!」
そしてジウルはゴルガの頭部に向かって刀を振った。