79話 援軍到着
倒れ込んだメルタにゴルガはトドメを刺そうと歩き出した。するとゴルガの背後からトルシャが銃弾を放とうとしていた。
しかし、ゴルガは背後からの攻撃に気づき、銃弾を避けながらトルシャへと迫った。
トルシャはゴルガに足を引っ掛けられ、床に倒れ込むと首元に金刀を添えられた。今、ゴルガはいつでもトルシャの首を切り裂くことができるのだ。
「俺は相手が女といっても容赦はせん。死にたいのか?」
「容赦しないなら、さっさと殺しなさいよ。それとも私を殺せないのかしら?」
「そうか。仕方ないな」
ゴルガはトルシャの首を切り裂こうと金刀を握りしめたが、金刀を握った手を動かすことができなかった。
「どうやら、アンタは完全にその身体を動かしているわけではなさそうね。ゴルガ」
「貴様……何をした……⁉︎」
ゴルガはトルシャを睨みつけ問いかけたが、その原因がすぐにわかった。
ゴルガの脳内にデュージルの声が響き渡ったのだ。
『悪いなゴルガ。俺の身体を痛めつけようが、乗っ取ろうが、それはどうでもいいが……俺の部下は殺させはしない』
「邪魔をするなデュージル。貴様はもうこの身体の持ち主ではない。今の持ち主は俺だ」
『悪いが、お前の邪魔をしてるのは俺だけじゃないんだわ』
「……ジウルもデュージルの味方に付いているということか」
『交代してもらおうかゴルガ。多数決では2体1だ。どうする』
「貴様ら……‼︎」
動くことができないゴルガにトルシャは銃口を突き付け問いかけた。
「どうやらデュージルがアンタの邪魔をしているようだな。どうする。このまま死ぬか、それともデュージルと交代するか!」
「……仕方あるまい」
ゴルガはそう言うと、目を閉じ心を落ち着かせた。するとその場に倒れ込んでしまった。
トルシャとネヴァは倒れ込んだゴルガのそばに駆け寄っていった。
その頃、ゴルガの精神世界ではデュージルとジウルがいた。その精神世界にゴルガは現れると、デュージルとジウルに刀を向け、こう言い放った。
「ではまず、邪魔をするお前らから葬り去ってやる。二度と交代できぬほど精神を壊してな」
一方、白龍本部のロビーのような場所では数多くの黒虎兵とガルドが指名した4人の戦士の内二人が戦っていた。その二人はシェリーでもなくビューカーでもない残りの二人だった。
「兄者、随分敵が多いが。まぁ、楽勝だろうな」
「気を抜くな。確実に全滅させるんだ」
二人の戦士はそんなことを言っていると、一人の黒虎兵が隊長にこう報告した。
「サブ拠点にいた奇襲部隊からの援軍がこの本部に来ました!ここの戦場に向かっているとのことです!」
「了解した。援軍が来るまで粘れ!」
隊長はそのような指示を出していると、敵の一人が黒虎兵に向けて鎌を振りかざした。するとその鎌は何者かの拳によって止められた。
その拳には悪魔の鉄拳が装着されていた。リケッドがもう戦場に辿り着いていたのだ。
「遅くなって申し訳ないッス。でも、もう大丈夫。ここからは俺がやる」