6話 残る戦傷
俺の強い思いに反応したのか、俺の身体を覆うように蒼色のオーラをした魔神が俺の身に宿った。
「魔法結晶無しで魔術どころか、魔神召喚に似た魔術まで使えるとはな」
松田隼人は俺の姿を見てそう言うと、俺は松田隼人を睨み、こう告げた。
「お前が英雄だったとかはどうでもいい。ここで、俺がぶっ殺してやる!」
「フッ、勢いだけは立派だな」
すると、俺が身に宿した魔神は松田隼人に向け、強烈なパンチを放った。
しかし、松田隼人はその魔神のパンチを両手で受け止めた。
「どうした?お前のパンチはこの程度か」
(そうか、重力変化で自らの足を重くし、俺のパンチに耐えたのか!……なら!)
俺はそう気づき、魔神を身体の中に引き込めた。
すると俺の身体は蒼色のオーラに包まれ、眼は蒼色になっていた。
松田隼人はその姿を見て、思った。
(魔神を引っ込めた?いや、アレは引っ込めていない……。奴と魔神が融合してやがる……‼)
魔神のオーラを身にまとった俺は、松田隼人に向け、走り出した。
その速さは閃光のようだった。
松田隼人でさえも、その動きはとらえられなかった。
「こりゃ、驚いたな」
松田隼人はそう言うと、背後を振り向いた。背後からは閃光のように移動する俺が攻撃を仕掛けようとしていた。
「あと一歩だな」
松田隼人はそう言うと、俺の周りの重力を重くし、俺を動かなくした。
「まぁ、この程度か」
松田隼人がそう言った瞬間、俺は重力を跳ね返し、松田隼人に強烈なアッパーを放った。
「重力を無効化しただと⁉」
そう言いながら、松田隼人は宙を舞うと、俺は上空にいる松田隼人に両手を向け、両手から凄まじい雷撃を放った。
「うおおおおおおおおお‼‼」
俺はそう叫びながら、渾身の雷撃を放った。
聖堂の至る所で爆発が起き、聖堂は壊れはしなかったが、未来に残るであろう激しい戦いの傷跡を残した。
「ハァ……ハァ……」
俺はその場に膝まづいた。攻撃の反動か、身体がビクビクして立つことも困難だった。
そのとき、俺の背後から声が聞こえてきた。
「ギブアップか?」
「……ッ‼⁉」
俺は真後ろを振り向いた。そこにはガレキの山のてっぺんに松田隼人が座っていた。
「今のはなかなか、危なかったぜ」
「ちっ、攻撃は命中していなかったか……‼」
俺はそう言うと、松田隼人は壁に穴を開け、俺にこう告げた。
「また会おうぜ、ボウズ」
「ま、まて‼」
俺はそう引きとめようとしたが、松田隼人は聖堂から去って行ってしまった。