70話 戦う理由
灯城とセツヤ率いるパーティによって大ダメージを受けた黒虎連合。
その後、追い打ちをかけるかのようにバーリルの手によって黒虎連合のほとんどのサブ拠点が壊滅的打撃を受けてしまった。
そんな危機を脱出するべく、黒虎連合は白龍連合本部襲撃作戦を提案した。
それはゴルシャ、灯城、セツヤ、ジウルの白龍連合の主力戦力を失わせたことを機に、黒虎連合が白龍連合と決着をつけるため、8割の勢力を懸けた占領作戦のことである。
この作戦を行うにあたって、多々あるパーティを組み合わせたことにより、いくつかの戦闘部隊が成立した。
まず奇襲部隊。
この奇襲部隊に配属されたパーティは作戦開始後、白龍連合のサブ拠点を直ちに占領し、白龍連合の本部との連携を途絶えさせる。
そのためこのパーティは飛躍的に成績が良いパーティで組み合わされている。リケッドが所属する央馬もこの部隊に配属されているのだ。
次に侵入部隊。
この部隊は奇襲部隊がサブ拠点を占領後、直ぐに本部へと侵入する。
侵入後、ジラ・バーバリタスを見つけ次第拘束、または討伐することが任務となっている。
この部隊にはシンが所属する豪蓮やトネイルが所属する赫花。クラネが所属する糸那が配属された。
そして指令部隊。
この部隊は各パーティの司令塔を受け持っている者で成立した部隊であり、奇襲部隊と侵入部隊の二つに指示を出す。現地で指示を出すため、指令部隊で奇襲部隊と同行する者と侵入部隊と同行する者とで二つに分かれる。
また、司令部隊の者同士で無線で連絡を取り合い、連携をすることにより、奇襲部隊と侵入部隊を繋ぎ合わせる役目も持っている。
この三つの部隊に分かれて行う白龍連合本部襲撃作戦は着々と実行に向けて事が進んで行った。
そして時は流れ、その実行の日がやってきた。
黒虎連合本部に黒虎連合の全ての戦士たちが集まっていた。
そしてその大衆の前で一人の男が演説を始めた。
「キシラ・ホワイト様からボスの座を受け継いで、この連合の指揮と責任を持つこととなった。私の名はケネス・アトワルト。諸君は大変辛く、苦しく、そして悲惨な人生を歩んで来たことであろう。諸君らのほとんどが仲間の死を感じ、自らの死を予感し、敵の死を目の前で見た者たちだ。諸君らの中には、戦う目的が良くわからなくなってしまった者もいるだろう。……しかし、そんなことは言っていられない。白龍連合に完全に敗北したとき、それは白龍連合によって人間界が悪魔界へと完全に化してしまうことを意味する。そうなってしまっては我々は生きることはできない。つまり、我々は“自分たちの命を守るため”に戦うのだ。自らの命を守りたい者、大切な者の命を守りたい者はどうか私についてきてくれ!」
ケネス・アトワルトは演説を終えると、多くの黒虎兵が彼を讃えた。ケネス・アトワルトはさっそく指示を下す。
「これより、白龍連合本部襲撃作戦を開始する‼︎奇襲部隊は事前に編成したパーティに分かれ、白龍連合の南側拠点、西側拠点の占領を始めてくれ!侵入部隊は編成したパーティで4人1組で隊列を作り、敵本部から2kmの距離で待機!司令部隊は連絡を取り合い、奇襲部隊が全ての拠点を占領次第、すぐに侵入部隊に突入命令を出せ!人類の命運を賭けた作戦だ!絶対にしくじるな‼︎」
「「「おおおおおおおおおお‼︎‼︎‼︎‼︎」」」
こうして、黒虎連合による襲撃作戦が開始された。