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悪魔の継承3  作者: 夜海 来火
第5章 白龍本部襲撃作戦
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68話 亀裂

長野県のキルビスの寺に辿り着いたシンは、さっそくキルビスの指導の下、寺の庭で修行を受けることとなった。

修行の始める前にキルビスはシンに説明し出した。


「まずこの修行の目的じゃが、恐らくこれからの戦いでは人間体のままでは生き残ることは困難だろう。灯城に超巨大な大剣を操れる超人的な怪力があるように、白龍連合の幹部レベルの者たちは人間を超えたような存在みたいなものだからの」

「人間体のままでは勝てない。ってことなら、魔人化を使うしか勝つ方法は無い。ってことですか」

「そう言うことじゃ。だが生憎にもその魔人化は極端にスタミナを減らす上に、本来なら稀にしか発動できない。そこでそのスタミナを減らしてしまう、稀にしか発動しない。という対策を今回の修行で身に付けてもらう」

「対策って言ったって、どうやってですか?」

「“部分魔人化”というものじゃ。身体の一部を変化させる。お前が今まで発動していた魔人化は身体全身を変化させていた。それを身体の一部のみに集中させれば、スタミナの減少を抑え、なおかつ一点に集中して変化させることで効率的に変化させることができる。これを成功させるには、魔神化を完璧にコントロールすることじゃ。魔神の全身を身体の一部だけに宿すのじゃからな。相当な神経を使うじゃろう。今から魔人化の一段階前の魔神召喚サムンスを発動し、あらゆることをしてもらう。まずはそうだの。あの木を切ってもらおうかの」

「了解!」


シンはそう勇ましく返事を返し、さっそく精神を集中した。すると、シンの身体を覆うように魔神のオーラが出現した。

魔神を出現させたシンはさっそく一本の木を切り倒そうと試みたが、魔神はその一本の木を掴むと、粉々に砕いてしまった。


(んだこれ⁉︎魔神が言うこと聞かねぇ!)


キルビスは木を粉々に砕いてしまった魔神とシンの様子を見ていた。


(やはり魔人化はできると言っても、前段階である魔神を完璧にコントロールすることはできなかったか)


するとキルビスは寺の庭にある石ころを拾い、シンへと投げつけた。


「よし、じゃあキャッチボールじゃ」


シンは飛んできた石ころを魔神の手でキャッチしようとしたが、魔神はシンの思い通りに行動せず、飛んできた石ころをなぎ払ってしまった。


「くそ!思い通りに動かねぇ!」

「キャッチボールができるコントロールが無ければ部分魔人化は到底無理じゃ。できるまで、キャッチボールしようとするかの」


キルビスはそう言うと石ころをまた拾い、シンへと投げ続けた。




一方、黒虎連合の豪蓮パーティのアジトでは、デュージルの過去を本人がネヴァとトルシャに打ち明けていた。

ネヴァは最初は驚きを隠せていなかったが、今では落ち着いて話を聞いていた。


「今まで隠していてすまない」

「つまりデュージルさんは、元々ジウルという白龍連合のスパイだった。ってことッスか」

「あぁ、そうだ。今のお前たちの感情は穏やかではないだろう」


デュージルは身に付けているジャケットのポケットから二つのピストルを取り出した。


「俺は元々、スパイとして白龍連合から来た。お前たち黒虎連合の情報を盗むために。お前たちが今の俺を隊長として信用できないのも無理はない」


するとその二つのピストルをテーブルの上に置いたデュージルは、両手を上げて言い放った。



「俺が信用できないのなら、その銃で俺を殺せ」



「んなこと、しないッスよ」

ネヴァは銃を手に取ることはなく、そう言った。

しかし、トルシャはテーブルに置いてある銃を手に取り、デュージルへ向けた。

その様子を見たネヴァはトルシャに問いかけた。


「おい!お前は信用できないのか⁉︎今までデュージルさんがどれだけ俺たちのことを!」

「私だって、デュージルは信用できるわ!……でも、ジウルは信用できない!」

「はぁ⁉︎」


ピストルを向けたトルシャはデュージルへと言い放った。


「あんたには自覚ないだろうけど、この前の灯城との戦いで、あんたはジウルになっていた。仲間想いのデュージルが一人で戦っているシンを放っておくはずがない。それにデュージルは絶対に言わない言葉をあの時発した。“俺の命令に従え”ってね」

「本当にデュージルさんを殺す気か⁉︎」


ピストルをデュージルへ向けるトルシャにネヴァは説得を試みたが、トルシャの決意は固かった。


「今のデュージルはいつジウルとなって白龍連合に寝返ってもおかしくない。私たちが背後から殺される可能性だってあるわ。これはデュージルを殺すための考えではなく、私たちの命を守る考えよ」

「で、でも!デュージルさんが死ぬのはおかしいだろ!」


言い争うネヴァとトルシャにデュージルは両手を上げ続けたまま、こう言った。


「俺がお前たちに殺された時のために、このパーティの新隊長は用意してある。本部に所属する男だ。もし、お前たちが俺を生かした場合には、その男が俺の監視役となる。暴走した俺をいち早く殺せる実力者だ。さぁ、どうする?」


するとトルシャはピストルの引き金を引いた。

銃声がアジトに響き渡った。


ピストルから放たれた銃弾はデュージルの真横ギリギリを通過し、アジトの壁に直撃した。


トルシャはピストルを下ろしながらこう言った。


「デュージルと、その本部所属の男を信じることにするよ」






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