67話 デュージルの謎
「黒虎連合の総力を賭けた襲撃作戦か。この作戦が失敗すれば我々の敗北は目に見えてくるだろう。最善の作戦を考えなければな」
「ゴルシャと灯城を倒したとはいえ、白龍連合の最強クラスの5人の戦士、白の城壁はまだ3人もいるのだ。なかなか作戦成功は難しいぞ」
黒虎連合の本部で行われた総会議では、そのような会話が飛び交っていた。そんな中、一人の男がこう話した。
「作戦をどうこうの前に、きっちり説明してもらわなければいけないことがあるだろ」
その男は黒い帽子に黒いコートを着た若い男だった。その男はデュージルを鬼のような形相で睨みつけこう問いかけた。
「キャプテン・デュージル。アンタは何者だ」
その場にいた全員が黙ってデュージルを見つめた。無理もない。灯城との戦いで明らかとなったデュージルが元白龍連合の兵士という衝撃的な事実を皆、知っているのだ。
デュージルは真剣な眼差しで答えた。
「わかった、全て話そう。俺は白龍連合の一人、“金刀のジウル”と呼ばれていた。白龍連合には白の城壁という5人の戦士がいるが、一人目はゴルシャ。二人目が灯城。三人目が䋝田セツヤ。四人目がバーリル。そして五人目が俺だった」
「じゃあ、お前が白龍連合にいたのはつい最近までだったんだな?いつからこちらに付いた?」
「俺は白龍連合のスパイとして、こちら側の兵士になったフリをした。だが、ある日俺は白龍連合の本部にある機密情報を誰にもバレずに見ることに成功した」
「そこには何て記されていたのだ!」
「三代目悪魔の暗殺の真実と、この世の支配のやり方だった」
デュージルは三代目悪魔王の暗殺の真実を説明すると、もう一つのこの世の支配のやり方について問われた。
デュージルは説明し出す。
「この世の遥か雲海の彼方には約束の地と呼ばれる天空大陸がある。その天空大陸には“四つに分かれる以前の世界を創った神”が居ると言われているが、その天空大陸は普段は人の目に見えることはなく、誰もその地へは辿り着けない。だが、その地へ行く方法がある。それがキシラ・ホワイトがセツヤに奪われ、シンが灯城から授かった指輪、“運命の鍵”だ。その指輪は皆既日食の際にその指輪を身につけている者と周辺にいる4人が、その天空大陸へ行くことができるというものだ」
「その指輪は他に三人持っている者がいるんだろう?」
「恐らく三人目はジラ・バーバリタスだろう。皆既日食まで7ヶ月後となった今、奴が指輪を持っていない訳が無い」
「まぁ、この世の支配のやり方は大体想像がついた。その神を利用するっていう感じだろ?」
「その通りだ」
デュージルはそこまで説明すると、そこにいた若い男はまた問いかけた。
「で?何で黒虎連合に来たんだ?」
「その計画を知った時、止めなければ。と思った。だからジラ・バーバリタスと敵の関係にあるこの組織に加入し、ジラ・バーバリタスを殺す。そう思いここに来た」
その頃、日本の長野県の山奥。その場所にシンは辿り着いた。
キルビスに修行を付き合ってもらうためだ。長野県の山奥の寺はキルビスが長年暮らして来た寺らしい。
その寺にはキルビス以外にも誰かが住んでいたとされる痕跡があった。布団が二人分あったり、茶碗や座布団。それに二人分の靴があった。
「さて、さっそく修行を始めるとするかのぉ。まず、これからの修行の目的を説明しよう」
シンはついにキルビスによる強化修行を始めようとしていた。