55話 本当の武器
(バカな!銃弾を素手で止めたというのか⁉︎それに何だ、あの笑みは……⁉︎)
素手で銃弾を止めた灯城を見て、トネイルは焦りつつ恐怖心を抱いていた。
灯城は片手ずつ手首を捻り、ボキボキ音を鳴らすと、こう呟いた。
「どうした?もう撃ってこないのか?」
「ちぃっ!」
トネイルは舌打ちをした直後、二本の拳銃を構え、灯城へと無数の弾丸を放った。しかし、灯城はその弾丸を高速の速さで手で掴み、飛んできた弾丸全てを握り潰してしまった。
その光景に驚いたトネイルは一歩ずつ後ろへ下がってしまった。
(恐らく奴にとって剣はただの道具!奴にとって武器とは、自らの肉体ということか!)
トネイルがそう思ったそのとき、灯城はトネイルに向かって走り出した。走りながらトネイルに向かってこう言った。
「拳銃や剣では、俺を殺すことはできん」
トネイルは走ってくる灯城に向かって銃弾を放ったが、灯城は銃弾を全て紙一重で避けると、トネイルの首を片手で握りしめた。
「うぐっ‼︎」
首を握り締められたトネイルは、近距離で銃弾を放とうとしたが、銃弾を放つ前に灯城のもう片方の手で拳銃をはたき落とされ、もう一方の腕の角度を変えられ、銃弾を空へと向かって撃ってしまった。
その直後、物凄く重いパンチがトネイルの腹に直撃した。
灯城はその一発のパンチでトネイルを崩れた建物の壁まで殴り飛ばした。
「俺を倒す気なのであれば、出直して来い」
トネイルは建物に直撃し、意識を失いその場で倒れ込んでしまった。
トネイルやクラネ、リケッドの倒れている姿を見て灯城は手首を捻りながら、不満そうに呟いた。
「黒虎連合とやらもこの程度か。もう少し遊べると思ったんだがな。占領任務、完了だな」
「いや、まだだ」
灯城は声が聞こえた方向を振り向いた。
そして、その方向に向かって問いかける。
「俺を退ける方法でも見つけて来たのか?」
「退ける方法は見つかってない。アンタを倒す方法なら見つけたがな」
その声の主は神谷シンだった。
睡眠から目覚めたシンはすぐに戦場へと戻って来たのだ。
シンは身体の周りを覆うような魔神を召喚すると、その魔神を自らの体内に引き込めた。魔人化というものだ。
魔人化したシンを見て、灯城はこう言い放った。
「面白い。もっと俺を楽しませてみろ!」