4話 松田隼人、降臨
「姫を頂くだと?何故だ?」
ガルドは突如現れた松田隼人にそう問うと、松田隼人は答えた。
「貴様らに説明している暇はない。邪魔をするなら、殺す」
「ガルド!ユリシスを連れて早く逃げろ!こいつは俺がやる!」
俺は以前にガルドから渡された武器、剣を構え、そう言うと、ガルドは答えた。
「増援を呼ぶ!それまで死ぬなよ!」
「死なねーよ!」
俺はそう答えると、ガルドはユリシスを連れ、天魔の聖堂を去って行った。
すると、俺は松田隼人に問いかけた。
「松田隼人とか言ったか?人間界を救った英雄にしちゃあ、随分乱暴なマネをするな」
「俺の邪魔をするなら殺すと言ったが。少し遊んでやる。せいぜい足掻け」
松田隼人は死神の黒剣を構え、俺にそう言うと、その瞬間、凄まじい殺気が感じ取れた。
(ここまでの殺気!感じるだけでわかる!こいつは……やべぇ!)
俺はそう確信すると、松田隼人は俺に向かって走り出した。
俺はすぐに反応し、剣でカウンターを仕掛けたが、松田隼人は気がつくと俺の背後に移動し、死神の黒剣で斬りつけようとしていた。
(速いっ‼)
俺はその場から回避したが、右肩を浅く斬りつけられていた。
すると今度は、死神の黒剣が剣を向けた状態で飛んで来た。
(剣を投げた⁉)
俺は自分が持っている剣で、飛んで来た死神の黒剣を防ぐと、今度は俺の周囲360度から無数の矢が飛んで来ていた。
松田隼人が死神の黒剣を投げた直後に、邪神の弓矢から無数の矢を放っていたのだ。
俺は矢を避けようと、バク転しながら回避しようとしたが、身体中に切り傷を負ってしまった。幸いにも致命傷はなかった。
「ぐっ……!」
「もう足掻けそうにもないな」
松田隼人はそう言うと、両手に悪魔の鉄拳を宿し、俺に向かって拳から衝撃波を放った。
(ここか……。俺はここで、死ぬのかな……)
俺はそんなことを思いながら立っていると、セツヤのことを思い出した。
自分の身を投げ出してまで、俺のことを守ってくれたセツヤのことを思い出したのだ。
(いや、ここで死んだらダメだろ。俺は、ここでこいつを、倒して……)
すると、俺の左手から放たれた雷撃により、衝撃波は砕けた。
「こいつを倒して、セツヤを助ける‼」
(こいつ、魔法結晶無しで魔術を……‼)
松田隼人はそう思っていた。