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悪魔の継承3  作者: 夜海 来火
第4章 凄絶な戦いの中で
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47話 白い門

(雰囲気が変わった……?)


セツヤは何かが変化したキシラを見てそう考えると、キシラは二本の短剣を持ってセツヤへと駆け出した。

セツヤはその場で剣を構え、戦闘態勢を取り迎え撃った。

しかし、キシラの姿は突然見えなくなり、気がつくとセツヤの背後に立っていた。

そしてキシラが持っていた二本の短剣は血を帯びていた。

その血はセツヤのものだった。目にも見えない速さで浅くだが斬られていたのだ。しかもキシラは超重圧ハイプレッシャーの効果を受けていなかったのだ。


(間違いない!こいつはさっきと何か違う!)


セツヤはキシラの後ろ姿を見てそう判断すると、その様子をモニターで眺めていたガルドが呟きはじめた。


白い門ホワイトゲート。それはホワイト国の王家にか開けることはできない禁断の奥義。その門を開けた者は、身体の全ての細胞が戦闘のみ働くようになり、余計な感情と思考を粉砕する。ジラ様が考案したリミッター解除もこの奥義を元にして考案されたらしいしな。何よりも効果がリミッター解除より遥かに大きい。その代償として、発動者は感情を失うと言われている。まぁ、この奥義を使わなければならないほど追い詰めたのは確かだな」


ガルドはそう呟いていた。

セツヤはキシラから距離を取り、拳から風圧弾を放った。

しかし、風圧弾がキシラに直撃する瞬間、キシラは足の向きをキュッと変えるとその場から消えてしまった。

その姿を見てガルドはまた呟く。


「恐らく、セツヤからした体感的には今のキシラは光よりも速いだろう」


すると距離を取ったのにも関わらず、キシラは一瞬でセツヤの背後に立っていた。

セツヤは背後を振り向こうとしたが、腰に切り傷があり、振り向くことができないくらいダメージを負わされていた。

その場でひざまずいたセツヤはふと心の中で思った。


(今のこいつには感情が無い……。殺すことだけを考えている。これが……黒虎連合の冷王……)


跪いたセツヤに容赦なく短剣をキシラは振り下ろした。セツヤは地面に向かって風圧弾を放ち、その反動で空中へ飛び攻撃を回避した。


超重圧ハイプレッシャーの効果を受けないだけでなく、戦闘能力が格段に向上している……。恐らくリミッター解除と似たようなものか。ならばタイムリミットがあるはず……。距離を取ってタイムリミットが切れるのを待つか……)


セツヤはそう考えながら、空中から着地し、キシラから距離を取った。しかし、キシラはその距離を縮めようとセツヤへと接近していく。

セツヤは風圧弾を何発か放ったが、一発もキシラには直撃しなかった。


(速い……‼)


接近したキシラに剣でカウンターを仕掛けたセツヤだが、キシラはそのカウンターを一本の短剣で防御し、もう一本の短剣でセツヤが持っている剣を弾き飛ばした。そして無防備になってしまったセツヤをキシラは蹴り飛ばした。

セツヤは態勢を立て直そうと起き上がった時、目の前にキシラが迫っていた。

セツヤはその時、ふと気がついた。


(間近で見てわかったが、こいつの目は光を持っていない。まるで死人の目だ。今、こいつは視力をゼロにし、感覚だけで戦っている。つまり極端の集中状態……)


何も武器を持っていないセツヤに向かって短剣でキシラは襲いかかった。


「……」


セツヤは黙り込み、キシラの持っている二本の短剣を風圧弾で弾き飛ばした。

二本の短剣はその部屋の壁に刺さり、セツヤが持っていた剣はその部屋の床に刺さった。

その様子をモニターで見ていたガルドは呟いた。


「セツヤ、やはり期待通りだ。白い門ホワイトゲートをーー」


キシラの前には、キシラと全く同じ集中状態になったセツヤいた。


白い門ホワイトゲートをこじ開けたのか」



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