3話 天魔の聖堂へ
俺にはまだ理解できない。
突如、人間界に出現した悪魔界を消すには、俺の力が必要らしいのだが、なぜ天魔の聖堂に行くのか、そもそも俺の力とは何なのか。
俺はいくつかの疑問を抱えながら、SPのような格好をした男性と姫のような女性と共に行動しようとしていた。
「さぁ、行きましょう」
姫のような女性が、地下室のような部屋の扉を開けると、外は紫色の空をしていた。
そう、ここは人間界ではなかった。
「ここは、悪魔界だったのか⁉」
「そういえば、何も説明していなかったな。ここは悪魔界だ。天魔の聖堂も悪魔界にある。ついでに俺の名はガルド。この方の名は、ユシリス姫だ」
「俺の名は神谷 真だ。よろしく」
俺たちは互いに紹介をしながら、天魔の聖堂を目指していた。
天魔の聖堂はどうやら山を登ったところにあるらしく、険しい坂道を俺たちはひたすら登っていた。
すると、ガルドが俺に話しかけてきた。
「お前、松田隼人って知っているか?」
「誰だ?」
「人間界や悪魔界、天空界などを死神の手から救った英雄だ。10年前の死神が人間界に出現した時をきっかけに姿を消した。今は生きているのかわからん。もし、生きているなら、この世の謎を握ってるはずだが……」
「10年前……。最強の魔術師の生まれ変わりって奴か」
そのような会話をしていると、俺たちは天魔の聖堂に辿り着いた。
「到着しました」
「中に入るぞ」
ガルドの合図で俺たちは聖堂の中に入ったが、そこには何もなかった。
しかし、ユリシスが何やら呪文を唱え始めると、眩い光が聖堂の中心に出現した。
その様子を見て、俺はガルドに問いかける。
「何してるんだ?」
「“鍵”を召喚しようとしてるんだ。天魔の聖堂の最深部への扉のな」
そう答えると、ガルドの言うとおり、光は鍵の形になり出現した。
ユリシスは鍵を手に取り、そこから歩き出そうとした瞬間、天井のスライドグラスを突き破り、何者かが聖堂に現れた。
「なんだ⁉」
「構えろ‼敵だ‼」
俺とガルドはそう言うと、天井から現れた者を警戒した。
「ここにいたか、ユリシス」
何者かはそう言うと、ガルドはその何者かを見て驚いていた。
「貴様は……“松田隼人”‼」
そう、松田隼人だったのだ。
松田隼人はユリシスを見て、こう言った。
「姫を頂く」